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2020.06.05 Fri 英雄を必要とする時代は不幸だ。吉村知事の人気沸騰に隠れる民主主義の危機

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 新型コロナウイルスの感染の第1波がようやく落ち着いた状況ですが、北九州市や東京都、北海道などでは早くも第2派の恐れもあり、全国的にいずれ来るといわれる秋から冬の第2派に備えて、特に医療体制の充実が求められるところです。
 わたしたちはわたしたちで、不要不急の外出自粛、社会的ディスタンスの徹底、手洗いとうがいとマスク着用などは一過性でなく続けていかなければならないと自覚する一方で、息が詰まる窮屈な生活がこれからも続くと思うと心と身体から元気がなくなってしまうんじゃないかと不安になれます。
 それはさておき、つい先日まで自信にあふれ、どや顔だった安倍総理が何かおびえているようで覇気も元気もなくなる中、先を走った東京都の小池知事までも追い抜き、わが大阪の吉村知事の人気が急上昇で、大阪はもとより全国からも「大阪に住みたい」といった声に混じり、気の早い人からは「首相になってほしい」と雄たけびが上がるほどです。
 しかしながら、わたしには「大阪モデル」と称して国よりも先んじて英断をくだすと賞賛される彼の対策は、先行き多く見て3割のリスクはあるものの、いずれ国が対策を進めるだろう7割にかけるカジノならぬ賭けに出る勇気は讃えられたとしても、テレビバラエティーで日に日に人気が高まっていくほどのことでもないと思います。
 維新の元祖・橋下徹氏が提唱、実行した「公務員叩き」と「民間委託」による行政コストのカット、新自由主義による構造改革などが世界的にも医療体制の貧困を進め、今回のコロナショックに対応できなかったことなどは棚に上げ、以前の民主党政治、今は安倍内閣を断罪する「決まられない政治」に対するいら立ちと強いリーダーを求めるサイレントマジョリティーを喜ばせる術を知っている、さすが橋下さんの申し子としての面目躍如といったところでしょう。
 彼の人気をうまく引き出しているのはやはり橋下さんで、今年になってからすべてのメディアに「信頼のおけるコメンテイター」として引っ張りだこになっている彼の戦略は、実は以前の大阪都構想直後から緻密に計算されたものでした。
政界への橋下復帰待望論をうまく誘導し、橋下さんと松井さんがヒールの役を担い、全国版にふさわしいスマートさを吉村さんに託す戦略はさすがと言えます。
 吉村さんを前面に出すことで、橋下さんたちはいよいよ最大の野望である国の権力を獲りに行く覚悟を決めたのではないかと思います。
 大阪での維新政治の実態をいくら暴いても、今の安倍内閣の不条理さにぼつぼつ嫌気をさしてきた大阪人にとって自民よりも維新という勢いは止まらず、維新の政治は「妬みの政治」からニュー大衆翼賛による「希望の政治」として、全国に躍り出ようとしていると思います。
 ほんとうに怖くて危険なのはヒットラーではなくヒットラーユーゲントだったように、SNSまでも路上にあふれだした英雄待望論にあるとわたしは思います。
「英雄のない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ」とかつて寺山修司は言いました。それから何度も英雄待望論が現れては消えていきましたが、民主主義が危機に瀕する今、この言葉が心に刺さります。

三上寛 ひびけ電気釜

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