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2011.04.15 Fri 被災地の水産加工会社の決断に支援を

 テレビを見ていて、被災地の水産加工会社の社長さんの決断に感動しました。
 その水産加工会社は被災地に7、8つの工場を持ち、従業員800人を雇用する大手の企業です。ほとんどすべての工場が津波でこわれ、従業員を解雇するかどうか決断を迫られました。会社の役員が集まり、意見を出し合いました。全員が解雇しかないと言いました。
 社長さんは解雇にするか休職にするか悩んでいました。解雇だと従業員の希望が失われるが、休職なら操業再開になれば職場に戻れるという安心感を従業員に持ってもらえる。しかしながら、休職にすると雇用保険を毎月2000万円支払わなければならないそうです。工場を再建していくには助成金もあるのですが、雇用保険の軽減はなく、一年、二年と負担を継続して持ちこたえられるかわからないのです。
 それでも、社長さんは経営陣の意見を退け、全員を休職とし、当面あまり被害のない工場から操業を再開し、すべての工場の再建を急ぐことで全員の復職を実現しようと決断したのでした。
 被災地の復興では住宅など生活基盤の再建と同時に、地域での雇用が大きな課題となります。一私企業の立場から言えば会社の存続が危ぶまれる中、全員解雇とするのが常道だと思いますし、解雇となってハローワークに人が押し寄せている映像も流れていました。
 その中でこの社長さんの決断は、経営力に裏付けされていることはもちろんですが、なによりも800人の従業員を解雇すればその人たちの生活を不安にするばかりでなく、会社としても経験豊かで技術を持った従業員をなくしてしまうことになり、なんとかそれを避けたいと考えた結果だと言います。
 
 このニュースを見て、わたしは2年ぐらい前になると思いますが世界でもトップを争う一流企業の社長さんが言った言葉を思い出していました。その時、派遣、請負など劣悪な労働条件や突然の雇い止めで住む場所も追い出されてしまうことなど、非正規雇用の実態が明らかになり、大きな社会問題となった時でした。
 「企業が社会的責任として雇用を守ることは大切なことだが、それでも、本来企業は雇用を守るために事業をしているのではない。事業をすすめるために雇用しているのだ。」
 労働はあくまでもコストで、コストを削減して収益を確保しようとする一般企業にとって、それはあたりまえのことなのでしょう。しかしながら、障害者の所得を保障しようと事業を進めてきた豊能障害者労働センターにとっては、労働はコストではありません。先のトップ企業の社長さんの言葉とまったく正反対に、わたしたちは障害者の雇用をすすめるためだけに事業をするのですから、それはむしろ経営の成果なのです。

 被災地の水産加工会社の社長さんは、まさしく800人の従業員はコストでなく経営の果実であることを身を持って感じておられることが伝わってきました。800人の従業員の生活と雇用を大切にし、被災地の経済復興を考え、リスクを背負いながら再建を進めようと決断する経営者と、17万人もの従業員をコストとしか見ない経営者と、どちらがすぐれた経営者なのかは見方によって変わるでしょう。
 しかしながら、被災地の人びとにとってははっきりしています。安い労働力を求めて国外のより安い労働力で世界のトップになることよりも、となり近所の暮し向きを共に考え、共に暮していく経営こそが、被災地の経済復興の担い手であると強く思います。そして、そういう経営を支援するためにこそ、国の支援が求められるのではないでしょうか。
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