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2017.09.26 Tue 「夜が明けたらもう一つの夜になった」というように、安倍自民党よりも恐ろしい「翼賛」時代がやってくる。

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 安倍首相は25日に衆議院の解散を表明しました。
 任期途中の解散には「大義」がいるとの批判を受け、19年に実施する予定の消費税の増収分の一部を教育無償化に充てるとか、緊迫する北朝鮮問題から「国難突破解散」と言いましたが、ほんとうは国民に森友・加計問題の真相を隠し、万一の自分に対する刑事訴追を避けるためであることは明らかです。
 高い支持率にも支えられた安倍政権と自民党の一強体制は数の力で秘密保護法、安保法制を強行採決し、共謀罪に至っては強行採決どころか委員会での採決をはぶく「中間報告」で成立させてきました。
 今年になって国有地が8億円も値引かれて森友学園に売却されたことや、国家戦略特区での獣医学部新設にあたり、学長が首相の友人である加計学園に不正に決定されたのではないかという疑惑、そして自衛隊の南スーダンでのPKO活動で戦闘に巻き込まれた事実を隠した日報問題など、安倍政権の中枢が権力を乱用・私物化する実態が明るみになりました。森友学園の問題では財務省近畿財務局が主導して一連の工作がすすめられた事実が文書や録音テープによって証明されています。
 また一時は名誉校長にもなりその一連の工作にも関与し、安倍晋三による寄付金100万円を籠池氏に手渡したとされる安倍昭恵氏や加計学園問題に関与した官僚が国会での証人喚問、参考人喚問を拒否し、出席しても「記憶にない」の一点張りで真実を語らない不誠実で傲慢な姿勢が批判を受け、内閣支持率が急低下しました。
 本来はそれらの疑惑を解明するために開かれるはずだった臨時国会の冒頭解散は、あきらかに「森友・加計かくし」に間違いありません。
 しかしながら、数々の疑惑が解明されない中で自民党は議席を減らすことも覚悟しているはずです。それでも解散という究極の強硬策に打って出たのは森友・加計問題、とりわけ森友学園問題が財務省近畿財務局の背任訴追となり、そこから安倍昭恵氏の関与から安倍首相本人にまで刑事事件の対象となる危険水域にあるためだと思います。それほど、実は森友学園問題では安倍首相も政権も自民党も追い込まれているのではないでしょうか。
 真相究明を求める国民をシャットアウトしておきながら国民に信任の白票を投じることを強制する、国民をなめ切った傲慢さに対して、市民と野党の共闘という反自民の「受け皿」作りだけでは足らないという思いがあります。
 すでにこの選挙では小池新党「希望の党」が自民党をしのぐ新しいムーブメントを起こすことが明らかで、補完勢力どころか、保守本流に躍り出る仕掛けづくりに成功しつつあります。そのマグマはあわよくば民進党はもちろんのこと、政権与党の公明党にまで力が及び、共産党を除いた反自民の政界再編による政権交代の可能性まで広がっています。
 実際、25日の夜のテレビの報道番組で解散の「大義」力説した安倍首相のすぐ後で小池さんが出演し、反自民を打ち出し国民の不満を取り込むほんとうの受け皿として「希望の党」の存在感に安倍首相がかすんで見えました。
 マスコミ戦略がずば抜けて秀でている小池さんにとっては、安倍さんが狙った突然の解散は、この新党の化けの皮がはがれるまえの期待感にあふれる短期決戦を最大に生かすことでしょう。
 ほんとうに、あれよあれよと思う間に政界再編から、ついこの間までは思いもしなかった政権交代が起きるかもしれません。多くの人々が新しい風が政治をより良い方向へと導いてくれると期待するでしょうが、わたしは「夜が明けたらもう一つの夜になった」というように、安倍自民党よりも恐ろしい「翼賛」時代がやってくるのではないかと思っています。
 民進党の前原氏が共産党との共闘を見直す理由のひとつして原発労組を持つ連合の顔色を見ている間に、目ざとい小池さんはあっさりと反原発を打ち出しました。
 また、共産党アレルギーで共産党と組めば民進党の票が減るといいますが、そもそも共産党とはかかわりなく、民進党を支持していた保守層の一部は「小池新党」へとなだれ込んでいます。
 小池新党の存在感が増す中で出し惜しみの証文のきらいはありますが、いわゆる無党派層のわたしは共産党をふくむ野党共闘に望みを託したいと思います。
 安倍一強体制と小池新党のブームに飲み込まれる前に、その荒波に立ち向かい、かなわぬまでも独自の結集軸を用意してほしいのです。
 そのために、前原さんはご自身の政治理念や戦略を大転換し、共産党をふくむ野党共闘に向けて全力を注入してほしいと思います。石橋をたたくだけでは小池さんの大博打に埋没してしまいます。
 そうすれば大義は野党共闘の方にあります。日本の民主主義が安倍政権によって危機に瀕している今、また小池新党の台頭に立ち向かい、民主主義と国家と国民の生活を救うために、小異を捨ててともにたたかう民進党になってほしいのです。
 もうひとつ、民進党のどこかはっきりしない自信のなさは、前身の民主党政権へのバッシングからきていると思いますが、わたしは民主党政権が決して悪くなかったと思っています。世間の受けの悪い「成長なき豊かな社会」を提唱したり、今安倍政権下で副作用が出ていますが内閣府による官僚支配や子ども手当、高校授業料無償化・就学支援金支給制度、「事業仕分け」など、実は安倍政権が引き次ぎ、安倍政権の手柄になっている政策も少なからずあります。
 GDPに反映する大企業にはよくなくても、また「決められない政治」と言われても、年収250万にも満たなかったわたしには、「コンクリートより人間」という理念をかかげた民主党政権はとても身近に感じていました。世界的にもリーマンショックから東日本大震災という激動の時代に、おおむね民主党政権はよくやったと思います。安倍政権の経済政策はリーマンショックからの立ち直りに助けられ、為替と株価が喜ぶ異常な金融緩和で国民のご機嫌をとっただけとも思われ、これからその副作用がホディブローのようにやってくるのではないかと心配です。
 また、北朝鮮に対して武力をもちらつかせる自国が一番の大国主義・トランプ氏のアメリカに、今ほど従順な日本国総理がいたでしょうか。朝鮮半島のすぐ隣の日本と、はるか遠くのアメリカとでは、北朝鮮への対し方はおのずと違うはずです。万一、武力衝突があれば、日本の大地も国民もおびただしい犠牲を払わなければならないのです。
 この緊迫した現状で、北朝鮮の国民に対して人道支援を模索する韓国は、やはり同じ朝鮮民族として北朝鮮の国民を救いたいと願いと、対話によって朝鮮半島の犠牲をなくしたいという意志と平和を実現しようとする勇気を感じます。
それに対して朝鮮半島の隣にあり、原発がミサイルの標的になる危険があるのに、安倍首相は圧力圧力とくりかえすだけで日本国民の安全を守れると思っているのでしょうか。
 わたしは国家を危険にさらし、国民のいのちが犠牲になることをいとわないとさえ思える安倍政権は、アメリカのトランプ政権、北朝鮮の金政権と等しく退陣するか、政策を180度転換してほしいと思います。
 今回の選挙はその絶好のチャンスともいえるのではないかと思います。

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2017.09.01 Fri 市民と野党の共同実現のつどいと北朝鮮のミサイル発射

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 8月27日、能勢町淨るりシアター小ホールで開催しました「第三回市民と野党の共同実現のつどい」は50名の参加をいただきました。
 この会は来年には必ず実施される衆議院選挙で、大阪9区(茨木、箕面、池田、豊能町、能勢町)の市民が主導し、安倍一強体制をやぶるために野党共闘で候補者を一本化し、統一行動を実現しようという集まりです。
 第一部は「森友学園と市民運動」というテーマで、私立とはいえ民主教育とはかけ離れた教育理念を持つ学校に国が8憶円も値引きして売却したことが明るみになったきっかけをつくった豊中市会議員の木村真さんにお話しをしていただきました。
 自治体議員として「地元地域の気になる問題について調べ、市民と情報を共有し、市民と共に動く」という地道な活動が国行政をチェックするという、本来の民主主義の可能性を再発見することになりました。しかしながらそれは同時に、議会制民主主義が危機的状況で、市民自らが民主主義のプレイヤーとして行動することが求められているとも言えます。
 そこで、第二部では自由党の渡辺義彦さん、新社会党の山下慶喜さん、社民党の長崎由美子さん、緑の党の野々上愛さん、共産党の山元たけしさんから市民と野党の共同の実現に向けて、想いを語っていただきました。民進党の辻元清美さんは参加出来なかったけれど、メッセージをいただきました。
 それから各地域の市民からは、市民と野党の共同の実現に向けた取り組みの現状を報告していただきました。今後は各地域の市民が集まって意見交換し、ネットワークを強化しながら、各地域の独自の活動に他の地域の市民が積極的に参加する他、共通のチラシなどによる働きかけや、共通の集会の企画なども考えていくことになりました。
 わたしは今回のような集会に参加するのは初めてで、できることが限られているのですが、今後はもう少し政治にコミットした活動もしていこうと思い、参加しました。

 話が変わるようで恐縮ですが、わたしにとって安倍一強体制からの脱却をめざす活動と深くつながっている、北挑戦の問題について書きます。
北朝鮮のミサイル発射は、わたしたちを恐怖におとしいれています。それでなくとも最近頻繁に発生する地震や風水害に、落ち着いて眠れない日々が続いています。
 ましてや自然災害ではなく、北朝鮮による人為的作為的脅威に誰しも憤りを持つことでしょう。
 現実感が乏しい中で危機はすぐそばまで来てしまいました。日本を「戦争のできる国」へと転換させた安倍政権は日米同盟を基にした軍事的圧力と経済的圧力だけをたのみにし、平和的な解決を探る対話を放棄しています。(水面下で努力されているのかもしれませんが…。)
 もし、軍事的な抑止力と経済的圧力しか国家の安全保障の道がないとするならば、万一のことを考えて、国民の安全のためにただちに原発を止めなければならないはずです。もし北朝鮮がほんとうに日本を紛争(戦争)の相手とするならば、短距離ミサイルで確実に日本全土を標的にできます。安倍政権もまた現実感の乏しい中での安全保障を夢想しているとしか思えません。
 朝鮮半島と日本列島に住むわたしたちは、北朝鮮の暴発を誘導しかねない日米同盟一辺倒の政策によっていのちの危険にさらされているのです。
 「核保有国」と国際社会が認めるまで暴走を止めない北朝鮮に対して、現核保有国が自らの核を捨てないで北朝鮮を制裁する段階はもう過ぎてしまったといえます。安倍政権がアメリカよりも率先して主張する「対話よりは圧力を」という政策は、北朝鮮にとって日本が戦争相手であることを確認させるだけです。今回のミサイル発射にはそのメッセージが込められたものだと思います。
 日本と韓国が北朝鮮の軍事力の標的にさらされている現実を直視すれば、北朝鮮の人々のいのちもふくめて東アジアに住むわたしたちが武力衝突によって二度と命を落とすことのないように、北朝鮮との対話の道を模索してほしいと思います。
 広島・長崎の被爆者が国境を越えて「核のない国際社会」を願う世界のひとびとのよりどころとなったように、北朝鮮との核放棄をふくむ対話外交と共にアメリカをはじめとする現核保有国の核の縮小から廃止への道すじをつけることが、日本国民のいのちを守り、世界のひとびとのいのちを守ることではないでしょうか。
 それはまた、唯一の被爆国の責任として「核兵器禁止条約」が有効に機能するように努力することでもあります。
 拉致問題などさまざまな問題をかかえつつも日朝の直接的な対話があった時代がありました。それが様変わりになってしまったのはすべて北朝鮮のせいともいえないと思うのです。日本が日米同盟にどっぷりとつかり、自立したアジア外交をしなくなった結果、米軍基地だけでなく日本列島全体が北朝鮮の攻撃対象になってしまいました。
 いつわたしたちの頭上に爆弾が落ち、いのちまでも危険にさらされる恐怖におののけばおののくほど、安倍政権の強い態度がたのもしく思えるかもしれません。
 現に、最近の世論調査では安倍政権の支持率が高まり、武力による抑止力を評価する意見もあります。しかしながら、日米同盟を絶対とする安倍政権のもとで確実に日本と東アジア各国との緊張がたかまっています。
 「目には目を」と対決姿勢を強め、のっぴきならないところまでわたしたちのいのちを追い詰めてしまうのではなく、北朝鮮との緊急かつ粘り強い対話の外交を強く望みます。
  2012年12月に発足した安倍内閣は「アベノミクス」という超異例の金融緩和と派生する円安で景気を立て直すことを期待されて高い支持率を維持してきましたが、ここに来て森友学園や加計学園問題で国の行政の私物化とゆがみが指摘されています。
 そしてまた、今回の北朝鮮との緊張を招いた一端の責任は数の力で秘密保護法から安保法制、共謀罪を強引に成立させ、最後の仕上げに憲法を変えることをめざす安倍一強内閣にもあると思うのです。
 戦後72年が新たな戦前元年にならないように、大阪9区に限らず市民が主導する野党の共同の実現が求められていると思います。

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2017.08.23 Wed わたしたちにとって8月は慰霊と反省と不戦の誓いと、静かな勇気を耕す季節。NHKの戦争関連放送に想う。

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 日本は8月15日を終戦の日としていますが、他の国ではポツダム宣言による降伏文書に調印した1945年9月2日を終戦の日としているところが多いようです。
 しかしながら、沖縄戦から8月6日の広島原爆投下、8月9日の長崎原爆投下を経て、日本人にとっては8月15日は戦没者を慰霊し、二度と戦争をしないと誓いをたてた特別な日なのだと思います。
 戦後生まれのわたしにも天皇の玉音放送の映像と「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という言葉が刷り込まれました。
 しかしながら玉音放送の全文を読むと、国内外のおびただしい数の死者と甚大な被害をもたらした戦争責任には触れず、アジアに進出・侵略する戦争を始めたのは欧米からアジアを守るためだったと書かれています。そして敵は新たに残虐な原爆で罪のない人々を殺傷し、このまま戦争を続け民族の滅亡を招くようなことになれば、どのように歴代天皇の霊に謝ることができようか、ゆえに国体を守り、忠義で善良な国民の真心を信じ「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」、ポツダム宣言を受け入れたという内容です。

今年のNHKの戦争特集番組は例年より多く、また過去の記録をさらに掘り起こし、一歩踏み込んだ深い内容の番組になっていました。その中で特に5本の番組が印象に残りました。

「本土空襲 全記録」と「なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った“真相”」
 一本は、戦闘機に装備され機銃を撃つと自動的に作動する「ガンカメラ」がとらえた本土空襲のすさまじさが、あと一本は当時独立組織ではなかったアメリカ空軍が空襲の「成果」を上げるために繰り返した経緯が克明に描かれていました。2本の番組に共通して、米軍がなぜ一般市民を焼き殺すような空襲、さらには原爆投下まで平気でできたのかが検証されていました。
 空軍による最初の空襲はB29に最先端の機械を装備し、東京近辺の中島飛行場に照準を合わせたのですが命中しませんでした。サイパン攻略後、サイパンから陸軍の爆撃機が中島飛行場の爆撃に成功したため、追い込まれた空軍は焼夷弾による無差別爆撃へと突き進んだのでした。
  「日本人は竹やり訓練をしているから、全員を兵士とみていい」という、まったく論理性のない根拠でしたが、勝利目前とはいえアメリカ兵の犠牲者も数多く、日本と日本人に復讐せよというアメリカの世論も後押ししたといいます。とにかく人が集まっている鉄道列車、駅舎、学校などを爆撃し、今回の調査で犠牲者の数が45万人となっていました。
 空爆に参加した元兵士の中には「非人道的だった」と後悔するひともいるものの、原爆投下も含めて戦争を終わらせ、犠牲者を減らしたとする意見が多いと伝えていました。

「樺太地上戦 終戦後7日間の悲劇」
 北海道の北に広がる大地、サハリン。かつて「樺太」と呼ばれ、40万人の日本人が暮らしていました。この樺太で終戦後も7日間にわたって戦闘が続き、住民を巻き込んだ地上戦が行われていたことはほとんど知られていませんでした。犠牲者は5千人とも6千人とも言われ、その人数は今なお正確にわかっていません。
 ポツダム宣言受諾後にもかかわらず、大本営の通達を無視した札幌の司令官が、戦闘の継続を命令します。しかも、沖縄戦で民衆が犠牲になることで本土決戦を避けることができたとし、北海道を守るためにひとびとを強制的な義勇軍としてロシア軍の前に差し出したのでした。

「731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~」
 「731部隊」とは、1936年8月に、関東軍防疫給水部本部の名称で発足した陸軍の秘密部隊の通称でした。満州で日本軍の細菌兵器の開発を行い、中国人やロシア人を使った人体実験を行っていました。その数2000人とも3000人とも言われています。
 今回NHKが発掘した、旧ソ連・ハバロフスク裁判の音声記録では、部隊幹部らが日本に反発した中国や旧ソ連の人々を「死刑囚」とし、実験材料としていた実態を克明に語っていました。こうした実験を主導していたのが、大学等から集められた研究者達でした。エリート医学者はどのようにして集められ、なぜ人間を実験材料にしたのか。音声記録と数百点の資料から迫りました。
 日本の敗戦と同時に証拠隠滅のために部隊の研究施設は破壊され、被験体の囚人も殺害・焼却されたとされています。この部隊にかかわった研究者の中には戦後、各分野のトップに君臨したひとも少なからずいたとのことです。

「戦慄の記録 インパール」
 日に日に敗色が濃くなる戦局を一気に打開するため、相手の戦力や兵站を無視した無謀な戦いで甚大な死傷者を出し、旧日本軍の体質を象徴的に示したとされる「インパール作戦」。連合国から中国軍への主要な補給路を断つため、ミャンマー(当時ビルマ)からイギリス軍の拠点があったインド北東部のインパールの攻略を目指した日本軍は、この作戦で歴史的敗北を喫しました。  餓死・戦病死した日本兵の死屍累々が並んだ道が「白骨街道」と呼ばれるほど凄惨な戦いの実態はどのようなものだったのか。
 今回、現地取材が可能となり、新たに見つかった資料や作戦を指揮した将官の肉声テープなどから「陸軍史上最悪」とされる作戦の全貌が浮かび上がってきました。
 イギリス軍の攻撃に阻まれ、雨季になると飢えに加えてマラリア、赤痢も大量発生し、日本軍は壊滅状態となりました。
 そこに至るまでに作戦を中止することもなく、「皇軍」が敗北することは断じてないと強行する司令官のすぐそばについていた兵士が綿密な日記をつけていました。
 そこには司令官たちが「5000人殺せば攻略できる」と話しているのを聞き、敵の人数かと思うとそうではなく、つぎ込んだ日本兵が5000人死ねば攻略できるという意味と知り、ひとりひとりの兵士を捨て駒や道具としか考えない彼らの非情さへの憤りを書き残しました。
 7月3日、作戦中止が正式に決定。しかしながら悲劇はそこからさらに続きます。地形の厳しさとイギリス軍の追撃、餓死と病死で退却路は死者で埋め尽くされたといいます。生き残った者は死者の肉を食いながら、次は自分の番だと思いながら歩き続けました。死者3万人のうち、退却時の死者の方がはるかに多かったこの無謀な作戦を命じた将校たちは一足先に退却したといいます。

 これらのドキュメンタリーを見て、国家権力の意志を実行する将校がその理不尽さに気づかないばかりか、その上にまた理不尽な作戦を個々の兵士たちに実行させる時、勝利した国も敗北した国もかかわりなく、まるで今流行りの戦争ゲームに興じるように現実感もなく人の生き死にを決めてしまえる恐怖、戦争の個々の作戦を命じた人が必ずいる一方で、その作戦のために無残にも死んでいった(殺された)無数のたましいに誰一人責任をとれない、責任のとりようもない悲惨に言葉がありません。
アメリカ空軍の兵士が爆撃機の空から地上の動くもの全てを焼き殺したように、
日本のエリート科学者が冷徹に中国人の腕にチフス菌を注射したように、
日本の将校たちがひとりひとりの兵士を仲間と見ず、自分が立てた作戦を実行・成功させるための「殺していい5000人」という捨て駒としか見なかったように…。
 「二度と戦争はしてはいけない、絶対だめだ」と叫び、つぶやきながら戦死者の慰霊にこうべをさげる一方で、「戦争だから仕方なかった」、「だれの責任でもない」という言葉でこの戦争を説明してはいけないのだと思いました。
 過去形で戦争が語られる今、北朝鮮をめぐる問題ではいつのまにか日本はアメリカ軍の作戦の前線に位置し、迎撃態勢を担うようになっています。日本にとっての本来の抑止力とはアメリカの圧倒的な武力をちらつかせて北朝鮮の戦意を弱めることにあると思うのですが、今や北朝鮮への抑止力はアメリカにとってしか有効ではなく、反対に日本と韓国は最前線で北朝鮮の武力行使の標的になってしまう危険にさらされるのではないでしょうか。
 わたしたちが実際の武力衝突がいつおこるかわからない恐怖を募らせる時、安全な場所で戦争ゲームにふけり、いざとなれば武力行使でたくさんのいのちを奪ってしまうこともやむを得ないとして、アメリカと一緒に北朝鮮に「圧力」をかける以外の道を選ばない日本の政治家の姿は先の戦争の日本軍の司令官たちとどこが違うのでしょうか。
 先の戦争への反省から出発し、二度と傷つけられることも傷つけることもなく、たったひとつのかけがえのない命が理不尽に奪われることのないように、とにかく話し合いに話し合いを重ね、ともに解決していくことをわたしたちは望みます。
 今回のNHKの複数の番組を観て、先の戦争の時に国が守ろうとしたのは明治政府以来の天皇制を中心とした「国体」であって決して国民ではなかったことを、それどころか兵士や一般市民を盾にして見殺しにしてでも「国体」を守ることだけを考えていたことがさらなる死者の数を積み重ねたことを改めて知り、今同じ過ちを繰り返そうとするこの国が暴走を思いとどまり、平和を願うたくさんの人々の声に耳を傾け、紛争解決を武力に求めず、戦後72年が新たな戦前元年にならないようにと切に願わざるを得ません。

小室等「死んだ男の残したものは」谷川俊太郎作詞・武満徹作曲

カルメン・マキ「戦争は知らない」寺山修司作詞・加藤ヒロシ作曲


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2017.08.13 Sun 今こそ「核抑止力より仲良くし力」・ピースマーケット音頭

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 8月13日、毎日新聞朝刊大阪版に「ピースマーケット音頭」の記事が掲載されました。この記事の取材はイベント終了後にあり、8月の敗戦記念日近辺でということで温めていてくださったものです。以前の朝日新聞とともに資料にさせていただきます。
 来年開催予定になっています「ピースマーケット・のせ2018」でもテーマソングとして大切にします。
 ピースマーケット音頭は「ピースマーケツト・のせ実行委員会」委員長の清洲辰也さんが作詞し、シンガソングライターの加納ひろみさんが作曲、豊能障害者労働センタのTさんが踊りの振付をしてくれました。
 学徒出陣から南方軍参加、捕虜生活を経て帰国、焼け野原の中に立ち、「2度と戦争をしてはいけない」と誓った想いを心の限りに綴った清洲さんの思いを歌にしました。
 朝鮮半島の緊迫した情勢の中、軍事力を持たなければ国を守れないという観念にとりつかれた北朝鮮の止まらない暴走と、強大な軍事力で朝鮮半島を極度に緊張させるアメリカ…。そのただ中で朝鮮半島と日本をはじめ数多くの人々が心を固くし、不安と恐怖の夜を過ごしています。もちろん、わたしたちもその例外ではあり得ません。
 緊迫した状況の中で、「核抑止力より仲良くし力」と、話し合いによる平和の実現を里山能勢から声を限りに叫びたいと思います。

毎日新聞2017年8月13日朝刊
 ピースマーケット音頭 盆踊りで平和願う 豊能・清洲さんCD化、動画も /大阪 

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ピースマーケット音頭

ピースマーケット音頭 from 能勢(動画)
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2017.08.13 Sun 「原発依存か脱原発か」 アベノミクスは成長神話のカンフル注射。

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 2012年1月8日、9日の2日にわたって朝日新聞が特集した「エダノミクス VS マエハラノミクス」は、民主党政権時代に日本社会のビジョンを探しあぐねている様子を報じていました。
 もっとも、2008年のリーマンショック以降、戦後の日本の政治も国際資本主義も濃淡はあるものの一度も疑ったことのない「経済成長」に疑いを持たざるを得ない状況が発生し、世界が立ち往生した時代であり、民主党の経済政策にその責をすべてかぶせるのは酷なように思います。
 くわえて東日本大震災を経てこれまでの「成長神話」がゆらぎはじめ、「成長社会か脱成長社会か」、「原発依存か脱原発か」という議論もありました。
 もちろんわたしは経済に詳しくないのですが、障害者の所得を作り出す活動に参加するうちに、経済成長を前提にした富の分配という社会保障が行き詰まると感じていました。人件費をコストとしかとらえない成長主義においては人件費コストを削減することが成長の条件のひとつとなります。しかしながら人件費をコストではなく事業の成果・財産ととらえると、障害者もふくめて多様なひとびとが多様な働き方ができる方が人件費を削るより豊かな経済と思うようになりました。
 そして、成長のために資源を奪い合い、地球の大切な共有財産を収奪し、人間的にも地域的にも格差を固定し、金融資本が世界中を猛スピードで利潤を貪り食う成長主義を見直し、人間の顔が見える経済へと舵をきるべきではないかと思ったのでした。
民主党政権は残念ながら、東日本大震災以後の日本社会の未来像を描き、国民に提案することができないまま、崩壊しました。
 わたしたちもまた「成長のない社会」がどんな社会なのかその光と影を見据えることができず、この年の12月に政権を奪回した安倍政権の繰り出した「アベノミクス」による見せかけの経済成長というはかない夢に先祖帰りしてしまいました。
 「財政出動」、「金融緩和」、「成長戦略」という「3本の矢」で長期のデフレから脱却し、成長を取り戻す「アベノミクス」はかつてなかった大判振る舞いの金融緩和で大幅な円安と株高をもたらし、わたしたち庶民の実感がないまま景気回復、経済の活況を演出しました。
 しかしながら、大幅な金融緩和はグローバリゼーションの地を行く大企業や金融資本にその効果をもたらしましたが、中小企業や地域経済にはマイナスの効果だともいわれます。2パーセントの物価上昇を目標と言われても、わたしたち庶民はデフレで助かっているのです。失業率の改善も、実態は非正規雇用者と定年延長や再雇用によるところが多く、購買力の源泉である賃金の上昇は芳しくないのが現実です。
 つまるところ、アベノミクスは大企業と金融資本にのみ大きな効果を上げましたが、経済全体からすれば瀕死の病人に強烈なカンフル注射を激しく注入し、その副作用がとても心配な結果となっています。国の借金はとうとう1000兆円をこえました。
 安保法制や共謀罪の成立と改憲への動き、森友学園や加計学園の不正疑惑と、ここ最近の安倍政権の暴走に反して、評価が高いといわれるアベノミクスが実はとても危ない状況にあることを知ると、「成長路線か脱成長か」という議論とともに、「新しい日本社会の行方」について、もう一度考えていかなければならないと思うのです。

2012年1月8日 朝日新聞朝刊1面 エダノミクス VS マエハラノミクス 上の1

2012年1月8日 朝日新聞朝刊3面 エダノミクス VS マエハラノミクス 上の2

2012年1月9日 朝日新聞朝刊3面 エダノミクス VS マエハラノミクス 中

2012年1月10日 朝日新聞朝刊3面 エダノミクス VS マエハラノミクス 下


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