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2017.09.04 Mon 「POWER」とPINKさんと加納ひろみさんとおーまきちまきさんと…。喫茶「どるめん」でライブ。

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さあ、輝く陽の光 たえまない水の流れに
生命の力が今よみがえるように 
ああ、限りない風の力
あかあか燃える木の炎
だけど原子力の炎とはさよならさ
    「POWER」ジョン・ホール 訳:PINK

 尼崎市・阪急園田駅近くの喫茶店「どるめん」に集まった20人ほどの観客を前に、加納ひろみさんは静かに歌い始めました。
 ギターの田中潤さんのギターは川の流れのように瑞々しく、ひろみさんのやや硬質で透き通る声はその川にこぼれ落ちた星のかけらのように、キラキラ輝くのでした。
 彼女が歌い続けている「POWER」は、1979年に発表されたジョン・ホールの名曲です。
 スリーマイル原発事故を機にアメリカで反核反原子力の運動が広がりました。そのきっかけのひとつといわれるニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンにて行われた「ノー・ニュークス・コンサート/NO NUKES」で、ドゥービー・ブラザーズ、ジェームス・テーラーと共にジョン・ホールが歌った彼自身の曲、「パワー/Power」は静かながら力強いメッセージソングとして存在感を示しました。
 この曲を訳詞して歌ったのがPINKさんでした。PINKさんは1970年代初頭、坂本洋さんがマスターをしていたロック喫茶「フリーク」を拠点に、ロックバンド「貧苦巣」を結成しました。
 1970年代初頭は、べ平連(ベトナムに平和を!市民連合)など社会や国家に異議申し立てをする政治的な行動と、自分たちが聴きたい音楽を自分たちでつくり、自分たちで歌い演奏する音楽的活動が矛盾なく両立した蜜月時代でもありました。
 時代の風に吹かれながら、PINKさんはバンド解散後も「自分らしくあること、自由であること」をロックで表現してきました。
 2000年の秋深い時、彼がけん引した「20世紀の谷間舎」に誘い込まれるように49歳の若さで逝った彼は、「青春」そのものの輝きを最後まで心の奥にしまい込んだ人生を精いっぱい生きたのだと思います。
 PINKさんはオリジナル曲の作曲もさることながら訳詞に稀有の才能を発揮し、数多くの訳詞でロックの名曲を歌い、残してくれました。
 その中の一曲が「POWER」で、加納ひろみさんが2曲目に歌ったボブ・ディランの「時代は変わる」とともに、わたしも彼の演奏で何度も聴いた曲でした。
 スリーマイルから約40年、東日本大震災における福島原発事故から6年、世界がその教訓から原発の廃止を進める中で、唯一の核被爆国である日本は原発を再稼働し、原発依存の社会を捨てることをやめません。
 ジョン・ホ-ルさんからPINKさん、そして加納ひろみさんへと歌い継がれるこの歌が役割を終えるまで、原発のない時代を未来に届ける応援歌として、まだしばらくは歌い続けないといけないのでしょう。

 この日はジョイントライブで、加納ひろみさんの後、おーまきちまきさんのライブが始まりました。
 おーまきちまきさんの歌と演奏を聴くのは久しぶりで、それも今回のライブに参加した理由でした。
 加納ひろみさんもおーまきちまきさんもいろいろな市民運動のイベントに協力する機会が多く、わたしもまた主催者の一員としてや他の主催者が開いたイベントなどで、これまで何度も彼女たちの歌と演奏を聴いてきました。
 しかしながら、そういう場ではじっくりと彼女たちの音楽を聴くことになりにくく、とりわけ主催者の一員の場合は他のことに気を取られて、聴こえているのに聴いていないことが多いのです。
 今回たまたま情報が入り、久しぶりにお二人の歌をじっくりと聴こうと思い、友人も誘って参加したのでした。
 おーまきちまきさんは以前と同じアコーディオンの演奏と歌で、最近はピアニストHALMA GENとのユニット「はるまきちまき」で活動されることがおおいのですが、今回は久しぶりのソロで出演しました。
 この日は「東京キッド」、「アカシヤの雨に打たれて」、「死んだ男の残したものは」、「アメイジンググレイス」など、カバー曲を歌いました。
 彼女が選ぶカバー曲は懐メロではなく、がれきの上の青空だけをたよりに走り抜けてきた戦後という時代の記憶、町の記憶を隠していて、彼女が歌うと時代の路地を通りすぎていったそれらの歌がアコーディオンのメロデイーとともに、行きどころのない悲しみと儚い夢をよみがえらせます。やがてなつかしも物悲しい歌声は祈りとなり願いとなり、大きな希望となって、聴く者の心を癒してくれるのでした。
 ここでもまた、わたしは「歌は何時どこで生まれるのだろう」と思いました。そして二人の歌は決して華やかな舞台で生まれるのではなく、ちまたの喫茶店「どるめん」の貴重な本たちに囲まれた狭い床や、路上で生まれる叙事詩なのだと思いました。
 彼女たちの歌が生まれる時と場所に立ち会えた20人の人々と共に、わたしはその幸運に感謝しました。


 この日は被災障害者支援「ゆめ風基金」のスタッフのMさん夫婦と一緒に行った関係で、加納ひろみさんもおーまきちまきさんもゆめ風基金の呼びかけ人ということもあり、ゆめ風基金の紹介をしてくれということになり、無茶ぶりされて何かと関係者の思われるわたしが話す羽目になりました。苦手中の苦手でうまく話せず、ひや汗をかいてしまいました。

加納ひろみ「ラブ・パラシュート」(ボレロコンサート2015)
「POWER」の音源はなく、彼女のオリジナルでこの日も歌ってくれました。

おーまきちまき 2015年1月3日釜ヶ崎越冬闘争はるまきちまきステージ1
おーまきさんの音源はたくさんあるのですが、この日に歌った歌はなく、別の音源ですが彼女の圧倒的な説得力を持った希望の歌でつつづられたライブの音源です。

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