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2016.04.12 Tue 初回「うたコン」と島津亜矢・宇多田ヒカルとのコラボの夢

 島津亜矢

 4月12日、NHK総合で第一回「うたコン」が放送されました。
 初回と言うことで73分拡大版でしたが、率直に言うと少し中途半端だったのかなと思います。一番時間を割いたのが「朝ドラ」特集で、朝ドラの新番組「とと姉ちゃん」の番組宣伝も兼ねていたと思うのですが、歴代の朝ドラの回顧に結構な時間を取り、やっとこさいくつかの朝ドラの主題歌が歌われました。この中でオリジナルは平原綾香の「おひさま」だけでした。すべてがオリジナルでは無理なのは理解できるものの、せめてあと一曲ぐらいはオリジナルの歌手を呼ばないことには特集の意味がないように思いました。このあたりは最近すべてのテレビ番組のバラエティ化が目立つ中、自前のドラマを特集にしたのも単なるバラエティのひとつに過ぎなかったといえそうです。
 今回の朝ドラの目玉の一つは主題歌「花束を君に」を宇多田ヒカルがつくり、歌っていることだと思います。5年半ぶりに「復活」した彼女の歌はとてもシンプルな言葉と曲でつづられています。彼女にとって歌をつくり歌うことは彼女の人生とつながっていて、その意味では彼女が復活したのではなく、彼女の歌の世界に聴き手のわたしたちが復活したのだと思います。わたしは彼女が登場した時から、やはりこのひとは稀代の歌手・藤圭子の娘だなと思ってきましたが、今回のこの歌には彼女自身が母親になったこともふくめて、藤圭子への思いが隠れているように思うのです。
 番組としてはこの歌を宇多田ヒカル本人が出演して歌えば本物の特集となりえたのでしょうが、それが無理ならば宇多田ヒカルのことを紹介し、「NEWS ZERO」のエンディングテーマ「真夏の通り雨」とともに、5年半ぶりの活動を再開した記念となるこの歌を平原綾香がカバーするぐらいのことがあってもいいと思いました。
 初回の拡大番組ということで、司会の谷原章介が少し前のめりなのは仕方がないとしても、番組全体の構成自体が少し力が入りすぎ、あれもこれもと詰め込んだところをAKBでごまかしているところは、そのまま紅白歌合戦の悪い面を見てしまったように感じます。
 よくも悪くも、この番組は以前よりもより強く年末の紅白とつながって行くように思います。たとえば北島三郎や布施明など、紅白を「卒業」したベテランの歌手たちがこの番組で紅白を思わせるステージに立つことは、それはそれで視聴者に喜ばれるはずですし、「いきものがかり」をはじめ、演歌以前の歌謡曲に近い曲想を持つJポップの旗手たちの新たな表現の場として活きてくる予感もあります。
 問題はやはり、演歌のジャンルの歌手たちの出演がどうなるのかと言うことでしょう。建前通りに受け止めると世代交代が進み、ベテランの演歌歌手の出番が少なくなり、演歌のジャンルでも若手と言われる人たちの出演が増えるかも知れません。しかしながら、この番組にすがりつくベテラン歌手はより強引に営業を進めるでしょうから、Jポップと違ってそう簡単にはいかないのではないでしょうか。
 事実、4月に出演する顔ぶれを見ると、山内恵介、三山ひろし、市川由紀乃など今人気上昇中の若手歌手は別にして、ベテラン歌手が週替わりで登場します。
 それがいけないとは思いませんが、それでは結局以前の「歌謡コンサート」にJポップが組み込まれ、どちらのジャンルの人たちも出演回数が減っただけになってしまいます。
 Jポップの新人登竜門としての役割をもっていた「MJ」は深夜の番組でしたし、水城ナナと「いきものがかり」など多数の新人を世に出してきましたが、今の新人アーティストはテレビに頼らないプロモートで動いているのでそんなに影響はないでしょう。
 けれども演歌の場合は「歌謡コンサート」を独占していたのですから、その影響は大きいと思います。
 そこで、われらが島津亜矢は今まで以上にテレビで見る回数が少なくなってしまうのか、そして新しいコンセプトで構成される「うたコン」で彼女はどんな歌を歌うのか、不安がどうしても先立ちますが、期待もまた膨らみます。
 今回の放送でも石川さゆりがドリカムを歌いましたが、今後かなり大胆なカバーが実現する可能性を秘めていて、たとえ出演回数が少なくなったとしても、島津亜矢の才能を十二分に発揮できる思い切ったカバー曲を熱唱することで脚光を浴びる機会が増えるかも知れません。
 彼女の場合、ベテランなのか若手なのかといえば本来はベテランに入るわけですが、ますます窮屈になる演歌のジャンルではいわゆるベテラン歌手がけっこうたくさんいる中で若手の台頭が著しく、演歌の世界もいよいよ世代交代の波が押し寄せ、移り変わりが激しくなっていくと思います。その中で強引なプロデュースと営業をせず、「演歌の王道」からぶれない歌だけではたしかにメガヒットにめぐまれることが望めない以上、最終的には「島津亜矢」自身の人気の高まりに期待するしかありません。
 昨今の状況は、島津亜矢の人気が様変わりになっているとも感じます。その人気のひとつに彼女の思いがけないカバー曲の歌唱力にあることもまたたしかなことで、その意味では水を得た魚のように他ではなかなか挑戦できない歌で一世を風靡する絶好のチャンスの場として、この番組があるかも知れないのです。わたしだけの妄想に近いものかもしれませんが、この番組の制作者たちの中にきっと、彼女の才能をもっと広く知らしめたいと画策するひとたちがいると信じています。
 そのずっとずっと先に、宇多田ヒカルが島津亜矢に楽曲を提供するようなことがあるかも知れず、その時には島津亜矢のレンジの広さだけでなく、宇多田ヒカルの天才の広さもまた多くの人が知ることになるでしょう。
 ともあれ、「うたコン」は初回の放送を観る限り、小さなタンスにいっぱい雑多に服が詰め込まれているようで、いままでの「歌謡コンサート」のファンは不満から遠ざかる可能性も高く、反対にこれで若い人たちがこの番組を観るようになるとも思いませんが、少なくともそれぞれのタンスの引き出しに、「新しい歌謡曲」、「新しいポップス」を生み出すきっかけになる宝物が隠れているかもしれません。
 そのもっとも大きな可能性は、紅白という年に一度だけではなく、異なったジャンルの才能が出会うことだと思います。

島津亜矢「風雪ながれ旅」
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