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2016.02.03 Wed 島津亜矢・急きょ「歌謡コンサート」に出演・「帰らんちゃよか」をフルコーラスで。

島津亜矢BS日本のうた7

 2月2日、NHK総合「NHK歌謡コンサート」に急きょ、島津亜矢が出演しました。実はこの日出演予定だった北島三郎さんがインフルエンザによる体調不良ということで、急きょ島津亜矢が出演することになったということでした。
 いままでは島津亜矢が出演しなくてもこの番組をよく観ていたのですが、最近は自分がかかわっているイベントのチラシづくりなどで忙しくなり、歌番組を観る余裕がなくなっています。この日も島津亜矢が出演するとは知らずに仕事をしていると、妻が「あんた、島津亜矢さんが出てるで」と教えてくれて、「おかしいな」と思いつつテレビをつけると、島津亜矢の「函館の人」が終わったところでした。司会の高山哲哉アナウンサーから説明があり、やっと事情が分かりました。
 いつもは日に何度か見るファンサイト「亜矢姫倶楽部」で新しい情報を知ることが多いので開いてみると、案の定すでに告知がされていて、朝からずっとその話題で持ちきりのようでした。
 それはさておき、急きょ代役ということですから、何を歌うかに興味がわいてきます。最初は単純に北島三郎の持ち歌のカバーかなとも思ったのですが、そこはNHKが礼をつくし、紅白で絶賛された「帰らんちゃよか」をフルコーラスで歌いました。
 おそらくは代役を依頼した時にすでに番組構成を変更し、紅白ではかなりの寸詰まりにもかかわらず大きな反響を呼んだこの歌をフルコーラスで歌ってもらうときめたのでしょう。
 久しぶりにフルコーラスで聴いた「帰らんちゃよか」は、ほんとうによかったです。若いころから音のリズムやピッチ、音の強弱、歌手として当然のことのはずの余りある声量と、日々の努力の末に自然に体に身についている基礎に加えて、最近はブルースのようにほんの少し前のめりになったり、後ろに遅れたりしながら、決して大きく外さない歌唱にはふっくらとした肉感をともない、時にはロックのように口から肺いっぱいにため込んだ感情をシャープに吐き出すような歌唱はとてもセクシーで、おもわず心を震わせてしまいます。
 「帰らんちゃよか」については、わたしの偏見と独断のもと何度もブログに書いてきましたので、それを採録しようと思いますが、今回は久しぶりに音楽番組でこの歌をフルコーラスで聴かせてもらった幸運に感謝したいと思います。島津亜矢はたとえ1コーラスであっても見事に歌の持つ物語やその歌が記憶する風景を物語ってくれますが(その意味では、1コーラスだけだった「函館のひと」を聞き逃してしまったのは残念でした)、都会に出て行って何年も経つ子どもに帰ってきてほしいという思いをかくしながら「帰らんでいいよ」と言う父親の手紙(?)を、都会でなんとか暮らしているものの、すでに単純に華やかな夢を追いかけ、少しばかりの野心を燃やすほどには若くなくなった子どもが涙を流して読んでいる…、という、聴く者の琴線にふれる切なくも愛おしいこの歌は、やはりフルコーラスで歌わないと歌に失礼だとつくづく思いました。
 この歌はシンガー・ソングライターの関島秀樹が自らの両親を題材に1995年に作詞・作曲した「生きたらよか」が原曲で、その翌年、「お米ばあさん」のキャラクターでいっせいを風靡した九州のスーパースターだったばってん荒川が「帰らんちゃよか」というタイトルに変え、熊本弁の歌詞で歌ったものです。その歌を聴いていた島津亜矢が感銘を受け、ばってん荒川に直接、「この曲を歌わせて下さい」と頼んだところ、「お前ならよかたい!大切に歌わなんぞ!」と快諾され、2004年にテイチクレコードからシングルとしてリリースしたのでした。
 関島秀樹、ばってん荒川、島津亜矢と、同じ熊本県出身の3人が20年の時をいつくしみながら大切に歌い継がれてきたこの歌の物語の深さには、往年のヒット曲がかくしているたくさんのエピソードに勝るとも劣らないものがあります。
「今や方言だけが人生を語れる」と言ったのは寺山修司ですが、島津亜矢が歌う熊本弁の歌詞のこの歌からは、帰るべき故郷はすでになく、都会もまた憧れの地ではなくなった時代の悲鳴が聞こえてきます。
 島津亜矢がどんなジャンルの歌も歌えるオールラウンドな歌手であることは良く知られていることですが、それを可能にする一番の才能は「歌を発見する」才能だとわたしは思います。およそ人間がこの地球に誕生して以来、もしかすると言葉よりも前に音楽はそのリズムやメロデイーで他者にメッセージを伝え、喜びや悲しみを表現することをおぼえ、言葉を獲得してからはより広く、より深く、より複雑な心情を表現できるようになったのではないでしょうか。ひとがパンだけでは生きられないことをもっともシンプルに証明する音楽・歌は生まれた時代の記憶をまといながらも時代を越えて歌い継がれ、時にはやがて忘れ去られていきます。
 島津亜矢はそんな幾多の歌たちのささやきを聴く、しなやかでするどい感性を持っているのだと思います。「帰らんちゃよか」の他にも、「かあちゃん」や、わたしたち夫婦が大好きな「旅の終わりに聞く歌は」など、巷に流れる歌に共振し、自分もその歌を歌いたいという気持ちから、その歌の記憶と風景を自らのものにし、数々のカバー曲の熱唱が生まれたのだと思うのです。とくに「旅の終わりに聞く歌は」はビギンの比嘉栄昇が田端義夫に提供した名曲で、田端義夫はもちろんですが、島津亜矢がこの歌を歌うと、ほんとうに涙が出てきます。
 それにしても紅白効果はやはりすさまじいものがあります。「帰らんちゃよか」を彼女はもう何年も歌いつづけていて、ファンの方もふくめて限られた人々に愛されてきたこの歌がいま、よりたくさんの人たちに知られ、圧倒的な支持を得たことを素直に喜んでいます。
 ファンの方々の間では早くも今年の紅白に連続出場という声もあがっていますが、NHKの音楽番組の制作が変更になることが彼女を後押ししてくれることを望みつつも、いままでの不出場の理由から考えれば今年も出場するという保証はないというのが実情でしょう。
 しかしながら、いまやCDの売上でもダウンロードでも何がヒットしているのかわかりづらく、ましてや単純に販売数や観客動員数の大きさだけ求めれば、ひとびとの音楽への関心の多様さに応えられないことも事実で、「新しい音楽を生み出したい」というNHKの音楽制作の方針から考えれば、島津亜矢への期待度は大きく向上しているのではないでしょうか。今回の御大・北島三郎さんの代役が、それを証明していると思います。

4月からの「歌コン」の司会に俳優の谷原章介が起用され、橋本菜穂子アナウンサーとの2人になると発表されました。わたしはよく知らなかったのですが、谷原章介は夏のロックフェス「サマー・ソニック」のMCも担当するほど音楽に精通していて、橋本アナウンサーとのコンビはとても楽しみです。

島津亜矢「帰らんちゃよか」

島津亜矢「旅の終わりに聞く歌は」

島津亜矢「かあちゃん」
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2016.02.03 Wed 23:16

私も「函館の女」を見逃したのですが、
youtubeに出ていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=aQOUtS9Jc2s

tunehiko : URL わたしも見ました

Edit  2016.02.04 Thu 10:03

わたしもすぐにファン方から教えてもらい、見ることができました。ネットの威力はすごいです。
寺山修司脚本・羽仁進監督の「初恋地獄篇」の中で、この曲が流れた時の映像を鮮明に覚えていまして、わたしにとって特別な曲の一つです。

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2016.02.04 Thu 22:04

今回はオープニングでしたが、三年後くらいには、紅白の大トリで、ぜひ島津亜矢に北島三郎の歌を歌ってもらって、一年をしめくくってほしいですね。やはり、「風雪ながれ旅」でしょうか。

tunehiko : URL まず今年も出演してほしいですね。

Edit  2016.02.04 Thu 23:00

昨年に限っては、北島三郎さんが引退した直後でしたので、カバーであっても「風雪ながれ旅」というサプライズもありかもしれないですが、やはりオリジナルの曲になるとおもいますね。「帰らんちゃよか」の場合はほぼオリジナルといってもいいのですが。
それよりも、今年の出演がどうなるかですね。今年あたりは今演歌ではかなりのヒットを出している市川由紀乃さんの出演が考えられますが、その場合がちがちの演歌枠で亜矢さんの出場がどうなるか、少し心配です。
NHKへの貢献度と群を抜く歌唱力と、この1年で高まった演歌を越えた人気で連続出場してほしいです。

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