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2016.01.27 Wed 島津亜矢・紅白その後2 明日は「木八」

2014島津亜矢新歌舞伎座公演

 島津亜矢が明日の東京テレビ系の「木曜八時のコンサート」に出演し、「望郷じょんから」を歌います。細川たかしの名曲で島津亜矢は若い時からこの歌を歌っていますが、最近のテレビ番組では久しぶりかも知れません。
 若い時の熱唱の映像が残っていますが、今の島津亜矢はこの歌をどう歌うのか興味はつきません。もっともこの番組は昨年に収録されたものですから、すでにお聞きになった方もおられることでしょう。明日の放送の模様は次回として、島津亜矢の最近のニュースから感じたことを書いておきます。
 
 まずは、3月16日に新曲「阿吽の花」が発売されるようです。作詞は昨年の「独楽」で作詩大賞を受賞した久仁京介氏、作曲は「愛ちゃんはお嫁に」や「流れて津軽」などで知られるベテラン作曲家で、島津亜矢の名作歌謡劇場の楽曲を提供する村沢良介氏です。
 島津亜矢にとって昨年は30周年記念曲の「独楽」が演歌・歌謡曲ジャンルでの売れ行きが好調で、年末には久仁京介氏が作詩大賞に輝いたこと、NHK紅白歌合戦に14年ぶりに出場し、「帰らんちゃよか」の歌唱が話題になったこと、昨年2月のNHK総合「NHK歌謡コンサート」で「I will always love you」を歌い大きな反響を呼び、その歌唱を高く評価した松山千春と「NHKのど自慢」でゲスト共演したことなど、彼女の長年の地道な活動とレンジの広さが認知された年でした。
 わたしのみならずファンの間では今年の新曲が王道の演歌になるのか、ポップ感覚のある歌謡曲になるのかと、さまざまでわがままな(?)予想でにぎわっていました。というのも、島津亜矢ほど、どんなジャンルの歌でも最高のパフォーマンスで歌ってしまう歌手は滅多にいないからです。それだけに、わたしなどはせっかく「I will always love you」や紅白での「帰らんちゃよか」などで幅広く注目されたのだから、たとえば小椋佳や中島みゆきなどに楽曲提供を依頼し、それに合わせて選りすぐりのカバーを同時収録したアルバムCDをつくったらどうかなどと、プロデューサーになった気持ちで考えたりしていました。
 しかしながら、というべきか、やっぱりというべきか、このチームは「ぶれる」ことなく、王道の演歌で31年目の記念すべき再出発を決意したのだと思います。機を見るに敏で、ときにはあざとらしさも気にしないプロデュースがあってもいいとも思いますが、本人もチーム全体も頑ななまでにデビュー以来の基本を変えない姿勢に、呆れながらもすがすがしさを感じるのはわたしだけではないでしょう。
 持って生まれた才能だけではなく、その才能を生かす努力を怠らず、恩師の星野哲郎をはじめ、指導を受け支えてくれた数多くのひとたちへの感謝の気持ちを忘れないからこそ、出自である本格演歌を新たな気持ちで歌おうと決めた島津亜矢とこのチームの潔さと礼儀に共感します。(それだけに一部で報じられているような「挨拶もできない」とか「偉そうにしている」などの発言に対して怒りというより、とてもかなしい気持ちになります。コンサートの幕が下りるまで床にひざまづき、マイクを両手で抱き、深々と頭を下げるすがたをいつも見ているわたしたちのだれが、彼女を礼儀知らずと思うでしょうか。)
 ともあれ、演歌歌手・島津亜矢の新曲は昨年の「独楽」以上に「新しい創造的な演歌」であってほしいと思いますし、作詞・久仁京介と作曲・村沢良介という稀代のゴールデンコンビによる楽曲ですから、野心的な楽曲になっていることでしょう。

 もうひとつの大きなニュースとして、元宝塚のスターたちのコンサート「薔薇とシンフォニー」の特別企画として、2月28日(日)と29日(月)の2日間、EXシアター六本木において宝塚宙組の初代トップスター・姿月あさとと島津亜矢の共演による「薔薇とシンフォニー<特別企画>贅沢な歌の時間と空間~Time and space of a luxurious song~」が開催されます。天賦の才能はもとより、長年の地道な努力によって培われた「歌を読む力」から香り立つ類まれな表現力でポップスからジャズ、シャンソンまでそれぞれのジャンルを究める島津亜矢をよくぞ発見してくれたと、この企画集団に感謝とともに尊敬の念を禁じ得ません。
 この企画が実現したのは、おそらく2012年に始まった座長公演で、島津亜矢が演歌からジャズ、ポップス、シャンソンまで、さまざまな歌を見事な表現力と歌唱力で歌い上げ、観客を魅了してきたことを検証した結果なのだと思います。
 とくに2013年の新歌舞伎座での座長公演の第二部・「島津亜矢オンステージ」を構成・演出したのが宝塚のベテラン演出家・坂井澄夫氏だったことも大いにかかわっているのではないでしょうか。「彼女は日本人の心が歌えるひとです。わたしの仕事は彼女の心の歌を如何に美しく見せるか…そして僅かでも新しい彼女の世界を開くことができれば…と思って構成をしました。現代、時の流れの速さに、ややもすれば失われがちな、美しい日本人の心を彼女の歌を通して感じてもらえる舞台が出来ればと思っています。」と語った坂井澄夫の構成は、このステージの前半にシャンソンの名曲を歌わせました。
 演歌歌手と宝塚という一般的にミスマッチに近いと思われる依頼を受けた彼は、彼女の本質と可能性を発見し、やりなれた宝塚のステージでもなく、また演歌歌手のステージとしてのお約束を踏襲するのでもなく、みごとに島津亜矢の魅力を最大限に引き出したステージをつくり出すことに成功しました。この経験は島津亜矢にとって大きな果実となっていると思いますし、坂井澄夫にとっても島津亜矢の可能性を広げて見せたやりがいのある仕事だったのではないかと思います。
 実際のところはわかりませんが、坂井澄夫の演出による2013年のステージの体験とシャンソンとの出会い、そして昨年の「帰らんちゃよか」の歌唱を聴いていたこの企画集団のプロデューサーが、一般的にはミスマッチと思える2人が共演することによって、「小さな奇跡」が生まれるのではないかと期待しているように思うのです。
 姿月あさとの演歌は想像できませんが、歌謡曲ならいくつか歌うかも知れません。そして、なんといっても島津亜矢がシャンソンの名曲を姿月あさとと共に熱唱し、観客に満足以上の感動を与えてくれることを期待します。(もっともわたしは経済的な事情もあり、その場に立会えないのが残念で、行かれたひとの感想と報告を心待ちにするばかりです。)
 王道の演歌を新曲として初心を忘れずに歌の道をひた走る島津亜矢と、元宝塚のスター・姿月あさとの2人の魂の共振から生まれる「新しい歌」、「もうひとつの歌」の誕生は、島津亜矢の歌人生にとっての大切な宝物となることでしょう。

 4月から始まる「歌コン」の司会に、橋本菜穂子アナウンサーが起用されることになりました。この番組ではじめての女性司会者で、新しい番組のコンセプトに沿った採用だと思います。新しい番組についてはいろいろ言われていますが、NHKの音楽番組のプロデューサーが言うように、「若者向けのMJ(ミュージックジャパン)の要素を中高年向け演歌・歌謡曲を届ける歌謡コンサートに組み込み、双方の化学反応で素晴らしい歌の生まれる環境を整えよう」とする冒険がたとえ壮大な失敗になったとしても、いま一番必要なことだと思います。この番組の試みからジャンルを越えた新しい歌が生まれることを切望します。
 先日亡くなったデビツド・ボウイがベルリンの壁のこちらとあちらの人々に向かって行ったライブが伝説となったように、ポール・マッカートニーがジョン・レノンの息子のショーンのためにつくった「ヘイ・ジュード」がチェコのマルタ・クビショヴァによって民主化運動の歌になったように、歌を必要とするひとびとの心に届く歌があるとすれば今のように音楽が何かのタイアップとしてではなく、異質のものと思われるものがぶつかり合い、ショートし、ごつごつとした心がすりあわされる場所から立ち現れるのではないかと思うのです。

 長年、島津亜矢を応援し、時にはするどい批判もしながら彼女の進化を見守ってこられた掲示板サイト『亜矢姫』談話室は昨年の年末で閉鎖されました。長い間、ほんとうにご苦労様でした。島津亜矢の新参者のファンであるわたしは「亜矢姫倶楽部」、「Welcome to AYAHIME Land 島津亜矢ファンサイト」、「こがれもんの手控え帳 島津亜矢ファンブログ」とともに、このブログの開設期からお世話になってきました。
 ほんとうにありがとうございました。

島津亜矢「望郷じょんから」

細川たかし「望郷じょんから」

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幸太郎 : URL

2016.01.28 Thu 00:46

亜矢姫への批判は、歌が、上手すぎて
コンサートがピンで一杯なので、演歌の
先輩たちの、妬み、僻みのやっかみです。
こんなに上手い亜矢姫を大事にしない事がおかしい、こんなことでは、天才が生まれません演歌の世界の、人間の狭さ感じます。
残念でなりません

tunehiko : URL 孤高のデーバ

Edit  2016.01.28 Thu 10:41

幸太郎さま、コメントありがとうございます。
島津亜矢は、今の演歌にただよう閉塞感とは無縁の、孤高の歌姫として自分の道をすすむしかないのだと思います。
演歌の狭い枠だけで仲良しクラブのままで時代を乗り切れるほど、日本の音楽は甘くはないのですから。
島津亜矢がこだわる「演歌」に、かすかな光明を見るしかないかなと思います。

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