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2015.08.07 Fri 渋谷毅、金子マリ、小川美潮

 7月10日のカルメン・マキにつづき、翌11日にはわたしの住む能勢のカフエ気遊で渋谷毅、金子マリ、小川美潮のライブ、28日には神戸で笠井友紀のヴイオリンと吉田馨のヴィオラによるデュオコンサート、8月1日には能勢の浄瑠璃シアターで玉置浩二のライブと、この一カ月の間にライブに行くのが重なりました。
 その上、今必死に準備をしている小室等・坂田明・林英哲の出演による「ゆめ風であいましょう」を15日に控えていて、週3日の勤務を返上して毎日勤務になっていて、なかなかブログの記事を書く時間が取れないでいます。
しかしながら本来の日記としての役割もあることから、ひとつずつ感想などを書いてみようと思います。

 まずは7月11日のカフェ気遊で開催された渋谷毅、金子マリ、小川美潮のライブは「両手に花」というタイトルが付けられていて、ジャズピアニストの渋谷毅と2人の女性ボーカリストによる、実にゆっくりとした心地よい時間を過ごしました。
能勢に住む前からカフェ気遊のことは知っていましたが、ロッジ風のお店の雰囲気はいわゆるおしゃれなお店というより、オーナーのIさんが能勢の自然環境を借景にして作っている文化空間という雰囲気のお店です。春一番コンサートとのかかわりも深いお店でもあります。社会的な問題や政治的な問題に対しても音楽などの個人の表現を大切にするオーナーのまなざしがうれしいお店ですが、能勢でもわたしの住むところからはまだ山手にあり、バスも1日に2本しかなく、それがまたこの店を特徴づけているのですが、わたしのように車に乗れない人間にはなかなか行くことができませんが、この日は電動自転車のバッテリー残量を気にしながらなんとかたどりつきました。

 このライブのことは3月頃に気遊に行った時にオーナーから聞いていて、金子マリの名前ぐらいしか知らないけれどもこのひとが呼ぶミュージシャンは聴いて損はないと思って参加しました。知り合いや友人に教えられてこういうライブに来るたびに、わたしはつくづく音楽を知らないなと改めて気づかされます。
 はじめて聴いた渋谷毅のピアノは前にでしゃばるわけではないのに存在感がありました。はじめはピアノソロから始まったのですが、なぜかソロを聴いていてもそこにボーカルが入っていてもおかしくないというか、ほんとうに歌心のある演奏で、聴く者の心に昔からあった凪いだ海、静かな森の気配を感じました。
 しばらくソロがつづいた後、小川美潮が加わりました。このひともまたまったく知らなかったボーカリストですが、透き通ったナチュラルな声と少し言葉たらずに聞こえる少女のような歌声と渋谷毅のピアノが不思議な対話をしているようで、緑に囲まれたカフェ気遊にいつもこぼれている音のかけらをそっとあつめてメロディにしたような歌が今も心に残っています。
 金子マリは今年の春一番コンササートでも聴きましたが、このひとの音楽もきちんと聴いたことが一度もありませんでした。
 とくにカルメン・マキもそうですが、70年代からの日本のロックはほとんど知らずにすごしたわたしは、70年代の金子マリよりも肩の力が抜けた今の方がなじむことができました。
 もちろん、わたし自身の年齢からロックよりもジャズやブルースの方が親しみやすいからかも知れません。日本のジャニス・ジョプリンとも称された若い頃の貴重な映像が残されていますが、いま聴いてみると彼女のしわがれた声はある意味まっとうに生きることができなかったわたしの若いころのごつごつした心の壁に心地よく響きます。今回のライブでは春一番の時とちがい、ゆっくりしたバラードを歌う彼女が世の中のきな臭い動きやますます格差が広がり、貧困が絶対的なものから相対的なものへと変わる中で、大地と森と海と川とそしてにんげんと、いろいろあっても「だいじょうぶ」とはげましてくれるような歌声でした。
 最後の曲は3人で「ケセラセラ」。夏とはいえ、すでに涼しくなってきた能勢の里山に溶けていったこの歌は、先日亡くなったギターリスト・石田長生への追悼の思いも込められているようでした。
 そして、この日はNIMAのダンスがまるで能勢の里山と川をすり抜けてきた風のようにカフェ気遊を包みました。今年の春一番コンサートで山下洋輔のピアノと共振し、見事なパフォーマンスを見せてくれたこのひとのダンスは、店内の狭い空間でもお客さんとお客さんの隙間を通り抜け、渋谷毅のピアノをより瑞々しくしてくれたように思います。
 山里で交通の便がいいとはいえないこのお店に、気づいてみればおよそ100人のお客さんがライブを楽しみました。コンサートホールでも都会のライブハウスでも味わえない、ここだけの時間と空間に身をゆだねながら楽しんだこのライブを開いてくれたオーナーに感謝です。


「両手に花」 小川美潮、金子マリ、渋谷毅 「一会庵」 July 12, 2015
あくる日のライブの模様です。

金子マリ Janis Joplin Medley

小川美潮 「窓」 4 to 3 pictures

渋谷毅「ダニーボーイ」 at uramado
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