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2015.07.05 Sun 島津亜矢・神戸コンサート2

 「戦友」の後、島津亜矢が舞台の上手に消えると、彼女のアナウンスで「亜矢ちゃんバンド」が紹介され、演奏が始まります。この間に島津亜矢がドレスに着替えるためのつなぎの役目があるのですが、いつもこのバンドの演奏はすばらしい!
 ロックにしろポップスにしろ、ボーカリストのバッグバンドはそのボーカリストの歌が一番よく聴こえるように演奏するのですが、たとえば井上陽水のツアーコンサートでは小島良喜のピアノ、今堀恒雄と長田進のギターなど、そうそうたるミュージシャンがサポートしています。小島良喜のファンでもあるわたしは彼が自分のオリジナルの演奏の時とまったくちがうアプローチで陽水のボーカルにとってもっともいい音とエモーションを引き出す演奏を楽しみにしています。
 「亜矢ちゃんバンド」のミュージシャンたちは、島津亜矢のコンサートの数からして一年のうちのほとんどを島津亜矢のコンサートツアーを仕事としているように思います。町から町へと全国津々浦々、昔でいえば旅芸人としてひとつひとつのコンサートで「一回限り」の演奏を繰り広げるこのバンドは歌手・島津亜矢のボーカリストとしての才能を深く確信し、最近よくある「カラオケバンド」のように手を抜かず彼女のボーカルにとけこむ演奏をしていて、わたしはコンサートに行くたびに「この人たちはなによりもまず、島津亜矢が大好きなんだな」と感じます。
 名前は知らないでもうしわけないのですが、島津亜矢のボーカルバンドとしてはもちろん、彼女の着替えの間に演奏するジャズのスタンダードは演歌の伴奏をするバンドの領域を越えた音楽性を発揮していて、島津亜矢が安心して歌えるのはこのひとたちのおかげだとつくづく思います。

 さて、白いドレスで登場した島津亜矢は「少年時代」、「酒と泪と男と女」、「ニューヨーク・ニューヨーク」の3曲を歌います。ここが悩ましい所で、わたしの場合はまだ子どもの頃から少しは演歌になじんでいるからいいものの、たとえば2月の「歌謡コンサート」で歌った「I Will Always Love You」を聴いてびっくりし、はじめて島津亜矢のコンサートに来た人たちにはこの3曲では物足りない事でしょう。しかしながら演歌歌手・島津亜矢を30年も支えてきた人たちにはずっと演歌で勝負してほしいと思われるでしょうから、彼女の才能を国民的に、世界的に理解してもらうにはどうすればいいのか、レンジが広すぎる島津亜矢はほんとうにプロデュース泣かせ、観客泣かせの天才歌手と言えるでしょう。
 そういえば、美空ひばりもまたその幅広い才能をどのように生かすか自分自身も周りも悩んできたことでしょう。最近また美空ひばりを聴き直すようになり、個々の違いはあるものの彼女の音楽性にもっとも近い歌手はやはり島津亜矢だと思います。
 こんな言い方はよくないと思いますが、島津亜矢の歌がメガヒットし、彼女が大ブレークすれば(その可能性はますます高まっていると思います)、美空ひばりのようにもっと自由にいろいろなジャンルの歌を歌い、たとえばジャズ、ポップスだけのコンサートを開いたり、テレビ出演の回数も増えればそういうコーナーもつくれることでしょう。
 今回のツアーは「矜持」というタイトルどおり、演歌歌手・島津亜矢の原点に戻り、迷うことなく演歌を歌いつづける潔さを感じますが、その分ポップスファンにはがっかりさせることになるかも知れません。
 わたしは今の演歌の先にこそ、島津亜矢の全才能が花開く「新しい演歌」が生まれ、そこでは世界の少数民族に伝わる「こぶし」や「うなり」とつながる「日本的な音楽」を再発見できるのではないかと期待していますし、その時にはポップス歌手・島津亜矢、ジャズ歌手・島津亜矢、ブルース歌手・島津亜矢、ロック歌手・島津亜矢が、来るべき新しい演歌歌手・島津亜矢となんの矛盾もなくひとつになる瞬間に立会えるのではないかと思っています。
 それまでの間、わたしはあえて島津亜矢にポップス歌手、ブルース歌手としての国民的評価を獲得する活動もふやしてほしいと思うのです。
 くしくも、歌謡コンサートでの「I Will Always Love You」を聴いた松山千春が最高の評価をして話題になっただけでなく、9月6日の「NHKのど自慢」のゲストで共演することになりました。そして先日の北海道ツアーでは花束も届いたそうです。
 この動きはNHKの音楽スタッフがつくったと思いますが、さらにきっかけになった「歌謡コンサート」での共演が期待できますし、そうなれば「紅白」への出場を拒否している松山千春を出演させるために、島津亜矢を利用することも考えられます。わたしがプロデューサーなら、演歌の枠組みの事情とJポップとジャニーズへの気遣いを越えて島津亜矢の紅白出場を実現できることと、松山千春の「紅白」出演という話題性を提供できる一挙両得のプロデュースに努力します。
 いままで何度もそういう機会があったはずですが、演歌ファンへの気遣いや自分の立ち位置を間違えないでおこうとする島津亜矢の想いから、自らその可能性をつぶしてきたのかもしれません。たしかに「大器晩成」の歌のように地道な努力と演歌歌手としての有り余る才能があるからこそ「巷の歌姫」として30年の足跡を残してきたことはまちがいありません。
 しかしながら、もうそろそろそのくびきからも自分の才能を解き放ち、「単に歌が好きな少女」にもどり、ポップスの世界でも足跡をつくる時が来たのではないでしょうか。
 最近のわたしのお気に入りの番組であるNHK・BS放送の「Covers」ではポップス歌手が70年代から80年代の「歌謡曲」を歌い、人気を博していますが、いまだに演歌を歌ったのは怒髪天の「唐獅子牡丹」と、先日出演した福山雅治の「銭形平次」だけだと思います。演歌に関心がなかっただけでなく、ポップス歌手もまた演歌は歌えないのだと思います。
 島津亜矢はどうでしょう。「メリージェーン」から「I Will Always Love You」、「シルエット・ロマンス」から「WHEN A MAN LOVES A WOMAN」まで、ロック、ジャズ、リズム&ブルースまで、これほど歌える歌手はいません。そして、ポップス歌手が歌えない極北にある「演歌」が彼女の出自であることを思うと、この番組は今すぐにでも島津亜矢と出演交渉をすべきだと思います。
 30周年は「矜持」から始まり、新しい「挑戦」への出発であるならば、長年蓄えてきたポップスのジャンルに「殴り込み」をかけてほしいと思います。

 コンサートの最後まで書くつもりが、こんなところで止まってしまいました。
 あと一回、お付き合い願うとして、今回はここまでとします。
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