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2014.02.05 Wed 今夜の小島良喜のピアノは幸せなピアノでした。

kojikanayama

 1月27日、大阪梅田のライブハウス「ミスター・ケリーズ」で小島良喜、金澤英明、山木秀夫のライブに行きました。
 小島良喜は自身のピアノはもちろん、アレンジにもプロデュースにも定評があり、また井上陽水のツアーなど、数々のライブシーンやスタジオセッションで活躍するピアニストです。わたしは1990年に豊能障害者労働センターが主催した、今は亡き桑名正博のチャリティコンサートの時にはじめて出会いました。その時はロックのピアニストだと思いこんでいたのですが、2002年に再会した時にジャズのようなブルースのようなピアノを聴かせてくれて、音楽のことはさっぱりわからないわたしでしたが彼のピアノの虜になってしまったのでした。
 金澤英明は日野皓正グループでの活躍や自己のグループをはじめ数々の名ライブを生み出してきた日本屈指のベーシストで、この人が小島良喜に声をかけて鶴谷智生を加えたトリオ「コジカナツル」が誕生したと聞きました。
 最近は小島良喜と金澤英明にその時々のドラマーを加え、「コジカナ○○」というユニット名で演奏することもあり、今回は山木秀夫を加えたトリオで演奏しました。
 山木秀夫についてはほとんど知らなかったのですが、小島良喜と同じように福山雅治、井上陽水など数々の有名ミュージシャンのライブのサポートミュージシャンとして参加、レコーディングではB'z、中島みゆき、今井美樹、藤井フミヤ、Chara、山崎まさよし、電気グルーヴ、井上陽水、美空ひばり、CMその他多くに参加するなどロック、ジャズ、その他、あらゆるジャンルを越えて活躍されています。小島良喜と共演することも多いようで、わたしも井上陽水のライブなどで知らず知らずに聴いていたのかも知れません。
 この日は最近のライブ友だちで、よく曽我部恵一のライブに行ったり、島津亜矢にも一回一緒に行ったFさんと、元豊能障害者労働センターのスタッフで、豊能障害者労働センターが2002年に「コジカナツル」のライブをして以来、小島良喜と縁の深いMさんと3人で行きました。
 「ミスター・ケリーズ」には心苦しいのですが、ライブの時にあまり飲み食いするととても高くつくため、近所の居酒屋で一時間ばかり過ごしてから会場に入りました。
 高いテクニックで定評のある山木秀夫のドラムスで彼らの音楽がどう変わるのか、わくわくどきどきと少し緊張しながら演奏を待ちました。
 予定の時刻より少しおくれたかもしれませんが、ライブが始まりました。
 やはり、最初の音は小島良喜のピアノでした。ここ何年も鶴谷智生との「コジカナツル」の演奏ばかり聴いてきて、その中でもその時その時で印象が全然ちがっていたのですが、今回はそれ以上に違っていたように思いました。
 山木秀夫のドラムスが一番大きいのかも知れませんが、もちろん彼らひとりひとりの体調や今の音楽的な関心などに加えて、わたし自身の体調や音楽的な興味、さらにいえばもともと音楽のことなどほとんどわからない素人の印象など、とるにたらないことなのかもしれません。それでも、音楽はその時の演奏がどんなにすごいものであったとしても、演奏者や歌い手は半分しか音楽ができず、ひとりひとりの聴き手が後の半分を受け持つことではじめて音楽になるのだと信じて、感想を少し書いてみようと思います。
 「コジカナツル」はなんというか、3人がその時にあるパワーをさく裂させ、一人が爆走するとそれを止めるのではなく自分もまたさらに爆走することで折り合いをつけるような、切れ味のよすぎるナイフのような印象が強くあります。その場に立会うわたしたちは彼らのスリリングな演奏スピードから振り落とされた音たちの洪水におぼれながらも、向こう岸にある約束の地へといざなわれるのです。その至福の瞬間こそが彼らとわたしたちが共同でつくり上げた音楽なのだと思います。
 それにくらべて今回の演奏はとても「ゆるい」印象を持ちました。わたしは小島良喜がピアノにタッチした時、とてもなつかしさを感じました。それはまるで夕暮れの海辺のように、あるいはもうだれも住んでいない部屋に残された、セピア色に変色してしまったひとつの家族の写真のようでした。
 「ああ、今日の演奏は歌謡曲だ」と思いました。あるいは小島良喜が暮らしたニューオーリンズの路地に流れるジャズかブルースか…、とにかく今日はピアノもベースもドラムスも歌を歌ってくれるようだと思いました。
 小島良喜はとても楽しそうでした。そして、ピアノもまた楽しそうでした。同じ会場の同じピアノなのに、その時々で泣いているように思うことも、とても痛々しいと思うこともありましたが、今夜のピアノはとても幸せそうに思いました。
 その幸福感は小島良喜とピアノだけではなく、金澤英明にもベースにも、山木秀夫にもドラムスにも漂っていました。そして、そのしあわせな音楽は会場を満たし、わたしたちの聴く者の心にも満ち溢れました。
 どちらがいいとか比べられるものではありませんが、山木秀夫を迎えた今回のライブは聴く者をここより別の場所に連れて行ってくれるのではなく、わたしのいるこの場所を約束の地、音楽誕生の地にしてくれる、そんなやさしさにあふれたライブでした。
 そして、今夜のような「黒っぽい歌謡曲」を聴いていると、ミスマッチの極と思われるけれど、小島良喜のピアノと島津亜矢のボーカルも実現できるような気がするのです。
 島津亜矢のボーカルは楽器にするとアルトサックスなどの管楽器系で、小島良喜のピアノとはとても相性がよく、島津亜矢の演歌を小島良喜がアレンジすればどうなるのかとても楽しみですし、また島津亜矢のジャズボーカルの新しい魅力が小島良喜のピアノで見事に開花する伝説なライブになるに違いないと思います。
 そんな夢物語を本気に考えてしまう、とても歌心のある素敵なライブでした。
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