ホーム > 音楽 > 島津亜矢 > 島津亜矢と紅白歌合戦

2013.11.26 Tue 島津亜矢と紅白歌合戦

 今年も島津亜矢は「紅白」に不出演となりました。
 毎年この時期に紅白歌合戦の出演者が発表されますが、世間では出演不出演を「当選」とか「落選」という言い方で報じられ、語られることに、実のところわたしはとても違和感を持っています。
 そもそも、すでに国民的番組ではなくなり、大みそかの音楽バラエティ番組になってしまった紅白歌合戦の出演者の発表が鳴り物入りで行われること自体に、もっと強い違和感を持たざるを得ません。そこには当選、落選とマスコミに言わせることで番組を権威づけしようとするあざとい意図を感じて、わたしは好きではありません。
 しかしながら、一方で紅白歌合戦に出演することで人気もステイタスもマネージメントも様変わりになるというのもまた事実であるならば、島津亜矢のファンとしても心穏やかではいられないのもほんとうです。ましてや、「自分の頑張りが足りず、ファンの皆さんに申し訳ない」と島津亜矢に心情を発露されると、より心が荒ぶれたとしてもいたしかたないところです。

 けれでも、昨年も書きましたが、島津亜矢にはこれ以上、紅白に出るために頑張ってほしくないと思うのです。直後のブログで「紅白を目指しているのは、みんな同じ」、「ファンの皆さんに申し訳ない」と書いておられますが、ファン歴の短いわたしがこんなことを言うと怒られることを承知でいえば、島津亜矢の歩いてきた道もこれから歩いていくべき道も、ひとつのテレビ番組に左右されるものではないと思います。
 少なくとも人気やステイタスを紅白に求めるには、すでに島津亜矢は大器なのです。歌手がその歌によってのみ評価されるものならば、彼女はもう10年以上も前に完成された歌唱力、豊かな表現力を持っています。紅白に出る出ないはその領域までは大きなモーメントたりえたことでしょう。
 しかしながら幸か不幸か、彼女は天才ゆえに早くに達成してしまったプロ歌手としての領域にとどまらず、さらなる高みへと冒険を続けてきた結果、大衆芸能のオールランドプレーヤーとしてジャンルや古い慣習にとらわれず、時にはミスマッチと言われかねないことにも果敢に挑戦してきました。
 ジャズ、カンツォーネ、シャンソン、ロック、ポップス、民謡、浪曲などそれぞれのジャンルの壁を簡単に乗り越え、最近の芝居への取り組みなど、たゆまぬ努力と貪欲な好奇心とリスクを恐れぬ野心と、そして何よりも天賦の才能が彼女に「演歌歌手」という領域にとどまることを許しませんでした。
 その結果、わたしもそのひとりですが、演歌とは縁のなかったひとたちまでも魅了し、その道のプロにも認められる表現力を次々と獲得してきたのでした。
 そういう意味でいえば、また寺山修司を引き合いに出して申し訳ないのですが、寺山修司が「あなたの職業は何ですか」と問われ、「わたしの職業は寺山修司です」と答えたように、島津亜矢の職業もまた「島津亜矢」なのだと、わたしは思います。
 ですから、島津亜矢という大器はもう紅白という器には入りきれないし、彼女の進む道もまたそんな小さなものではなく、来るべき音楽のメインストリームであって、彼女はその道なき道をたった一人で歩いていくしかない、孤高の天才であるがゆえのきびしい宿命を背負っているのだと思います。
 島津亜矢もひとりの女性ですし、歌一筋で生きてきた演歌歌手として、「紅白に出たい」という気持ちや、「紅白に出てファンの皆さんに喜んでもらいたい」という気持ちを持っていたとしても不思議ではないのですが、わたしに限らずファンのひとたちは島津亜矢を出演させないことへの怒りや失望はあったとしても、彼女が紅白を目指して頑張る必要はないと思っているのではないでしょうか。
 そう思うわたしがそれでも紅白出場をひそかに願うのは、ひとつは彼女の歌をより多くのひとに聴いてもらいたいという気持ちと、彼女が別のジャンルのシンガーやソングライターと出会い、彼女たち彼たちの才能と島津亜矢の才能から新しい歌が生まれるきっかけになったらという願い、そしてもうひとつ、紅白出場でマネージメントが楽になり、より多彩な冒険ができることと日本の宝ものといえる彼女の声がより長く温存できたらという願いからです。
 けれども、そのどれもが別に紅白にたよらなくても彼女の今の活動を続けることで、いつか実となり花となる時が必ず来ると思うのです。
 ですから、島津亜矢さん。あなたは今のままで充分に頑張っておられるし、これからも愛を必要とし、歌によって救われる人にこそ届く「ほんとうの歌」を歌い続けてほしいのです。
 そして、もし紅白から出演依頼が来た時は、多くの人々にあなたの歌を届けようと願い、長い年月をかけて多くの問題をひとつずつクリアしていったNHKの新しい音楽番組担当者をほめてあげてください。そして、彼女たち彼たちと、ファンのひとたちと、そしてまだ出会っていない多くのひとたちのために、いつものようにひたむきに「ほんとうの歌」を届けてほしいのです。

島津亜矢公式ブログ 頑張ります!! 2013.11.25
こんばんわ(^_^)いつもありがとうございます(^○^)
皆さんもうご覧になったと思いますが、本当に申し訳ありません。紅白歌合戦、今年も名前が乗ることはありませんでした。
毎年、出させていただきたい!という思いはいっぱいあります。一生懸命紅白を目指しているのは、みんな同じです。でも!私の頑張りが、中途半端で、足りなかったです!ごめんなさい。ファンの皆さんには本当に申し訳ない思いでいっぱいです。悔しいです!悔しいです!
今の思いを胸にまた今日からがむしゃらに頑張ります!本当に本当に本当にごめんなさい。
関連記事

web拍手 by FC2

Comments

name
comment
あけさん : URL

2013.12.01 Sun 12:46

こんにちは♪2度目のコメント致します。いつもながら細谷さんの文面には心があるなぁと、言葉には言霊があると聞いたことがありますが、まさにこのことだなぁと思いながら読みました。島津亜矢さん残念でしたね。あれ?私別に島津亜矢さんのファンじゃなかったよなぁと思い、細谷さんワールドにいつの間にか入っている私です(笑)どうってことないコメントですが、(笑)また参加します。宜しくお願い致します。

とっしー : URL

2013.12.01 Sun 16:39

すばらしい内容の考察を読ませて頂き感心しました。

以下は私がブログに書いたものの一部です。
NHKにはほんとに腹が立っています。
皆様の・・・と言いながら、癒着した事務所・プロダクションとの関係をいつまで続けるんでしょうか。

 >私はこれまで(一昨年まで)まあまあ見ていたほうですが、昨年は初めて全く見ませんでした。今年も見る気がしませんね。

 紅白歌合戦に対するとっしーの主張は、機会あるごとに言ってるように、第一部では何でもありで良い。チャラチャラしたのでもヘタでも人気があれば良い、レコード(古い?CD?)の売り上げさえ多ければ良い。見た目だけでも可。

 第二部(後半)は出たい人より出て欲しい歌手の登場、この二部に出ることこそ歌手のステータス。そんな権威あるものにしていけば良いと。視聴率なんてクソ食らえ。歌合戦と言うからにはそれなりの審査の方々の投票で決める。わけのわからん人気だけで投票するお茶の間審査員やケータイ審査員なんて不要。ジャンルを問わずじっくり1年を振り返る番組にしていけば良いのです。NHKならそれができるのに・・・。プロダクションとの関係もあるのでしょうが、ややこしい力関係は断ち切ったほうがよいのです。なんせ受信料で成り立っている皆様のNHKなんですから。

 毎年毎年相変わらず訳の分からん基準で選んでいる。アホですね。

 もっともっと出場に値する素敵な歌手がいっぱいいるでしょうに。

tunehiko : URL ありがとうございます。

2013.12.01 Sun 19:05

あけさん、
すごくうれしいコメントありがとうございます。
2度目のコメントとおっしゃいましたが、一度目のコメントをさがしたのですが、わかりませんでした。ごめんなさい。
また、わたしの実名をご存じだということは、とても身近な方ですよね。
できればわたしのメールアドレスにご連絡いただけたらうれしいです。
info@koisuru.net
です。よろしくお願いします。

tunehiko : URL

2013.12.01 Sun 19:22

とっしー様
ご訪問ありがとうございます。そして、記事にご賛同いただけたことを感謝します。
おっしゃる通りと思っていますが、わたしの場合は島津亜矢さんのファンになってから紅白が気になるだけで、わたし自身はもともとほとんど興味がありませんでした。
NHKは公共放送ですから、当然視聴者の意見を反映させなければならないのでしょうが、単なる歌番組と思えば、紅白に出場することがステータスになることの方が問題だと思っています。
ご異論があるでしょうが、わたしは、「歌は世につれ」といわれるならば、今のJポップスから多くの出場者が出るのは当然で、圧倒的な受け手の層があるために意欲的な音楽も生まれると思っています。島津亜矢さんもJポップスから出ていればヒット曲にも恵まれ、実力のある歌手として若いひとたちにも受け入れられたかもしれません。
けれどもそうしなかったからこそ今の島津亜矢さんがあり、その才能が大きく花開いたことも真実で、ファンとしてはとてももどかしく思います。
わたしはむしろ演歌界の方に問題があると思っていて、苦しいけれど島津亜矢さんがもっと刺激的で新しい演歌界をけん引するしかないと思っています。

comment form

Trackback

FC2Blog User

  1. Trackback