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2013.10.28 Mon 能勢の学校統廃合問題

 2年前、能勢町に住むようになった私ですが、しばらくして新聞の折り込みチラシで能勢町が小・中学校の統廃合を進めていることを知りました。そのチラシは統廃合に反対する市民によるものでしたが、わたしは能勢町がすでに進めてしまっている計画がとても乱暴なものに思いました。
 その計画とは、現在能勢町の6つの小学校と2つの中学校をすべて廃校にし、大阪府から無償譲渡された府民牧場跡地に小学校と中学校をひとつずつ作るというものでした。そして今は、小・中一貫校か、それに近い計画へと突き進んでいます。
 素人の私なりになぜ統廃合なのかと考えてみると、人口が減り、財政がひっ迫する一方という状況から、やはり費用の問題なのかなと最初は思っていました。
 ひとつは教職員の人件費が減るということでしょうか。学校が少なくなれば先生の数も減り、人件費が少なくなるでしょうが、「県費負担教職員」という制度にもとづき教職員の人件費は大阪府が負担し、その3分の1を国が負担しているので、大阪府や国のコスト削減になりますが能勢町のコスト削減にはなりません。
 次の目的と考えられるのは各学校の建物にかかわる維持費の削減を意図しているのかも知れません。学校などの建物は、地震防災対策特別措置法が2008年に改正され、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物には耐震診断と結果の公表が義務化されて耐震化が求められています。能勢町では、小・中学校8校の計30棟のうち旧基準の建物は計20棟。耐震化率は約33%で、全国平均の約85%(12年4月現在)を大きく下回っています。
 町は簡易な1次診断は実施しており、計8棟を「危険性が高い」と評価。しかし、災害時に避難所として使うために耐震化する予定の体育館など4棟を除き、耐震工事を前提にした2次診断はしていません。ちなみに、全国の2次診断の実施率は平均約93%に達しています。
 無償でもらった府民牧場跡地に耐震化を整えた新学校を建設するので、今の学校の耐震化と老朽化に対する改築費にお金を使うのは無駄遣いだというわけです。
 能勢町内の学校の耐震化費用が50億円かかり、新学校の建設費は42億円と言われています。しかしながら、スクールバスの運用費や廃校後の跡地をどうするかなどははっきりせず、また耐震化の費用も、新学校の建設費用も国からの補助金がどうなっているのか、わたしの勉強不足ではっきり知りません。

 それでも、わたしは能勢町の選択は間違っていると思うのです。この町のそれぞれの地域の学校を廃校にしてまで、能勢町の西南の端といっていい府民牧場跡地に学校をつくり、遠い地域(3キロ以上の地域)の子どもたちはスクールバスで通う学校が、あるべき姿とはどうしても思えないのです。
町と教育委員会、そして新学校建設を進める町議会議員たちは、表向きなのかほんとうにそう思っているのかわかりませんが、学校の統廃合が必要なのは費用の問題よりも子どもたちに日本一の教育環境を提供するためだと主張しています。
1.能勢町の小中学校の児童生徒数は、平成10年の小学校1,164人、平成11年の中学校609人をピークとして減少し、平成27年度の小学校児童数は約340人、平成30年度の中学校生徒数は約170人と見込まれており、今後においても児童生徒数が増加することも見込めない状況から、現状のままでは、能勢町の小中学校の全てが小規模校となる。
1.小規模校では競争がなく、学力が向上しない。
2.小規模校ではクラス替えができず、人間関係が固定化され、子どもの逃げ場が限られ、いじめが起きやすい。
3.小規模校では野球やサッカーなどチームをつくる人数が足らなくなり、体育授業や部活動に支障をきたす。

そして、再編によって得られる効果として、
1.複数学級になり、クラス替えができる。
2.児童同士の切磋琢磨を促し、学力が向上する。
3.人間関係が固定化されず、いじめが起きにくい。
4.体育授業や部活動が充実し、児童の心身の向上が図られる。
などとしています。
 彼らによると、小規模学校では豊かな教育が難しいということが大前提になっています。果たして、ほんとうにそうなんでしょうか。
 世界の国々では「小さな学校」「小さなクラス」があたりまえで、日本のように学校を統廃合して学校規模を大きくしようとしている国は少ないのです。21世紀の世界で求められる学力を身につけるのには、少人数のクラス・小規模学校の教育効果が高いことが立証されているからです。
 WHO・世界保健機構は、「教育機関は小さくなくてはいけない、生徒100人を上回らない規模」としています。そうだとすれば、能勢において危機的と言われる学校の生徒数は現在はむしろまだ過剰で、理想に近づきつつあるということになるのです。統廃合の大きな理由とされる学力においても、少人数の方が学力が高いという結果が出ていますし、小さな人間関係ではいじめや差別などからの逃げ場がないという意見もありますが、反対に規模が大きくなるほどいじめの発生率が高いという報告もあります。
 むしろ能勢の場合、農業を中心とした歴史や文化を守ってきた町民のコミュニティーが学校を支え、子どもたちを育てるといった、これから日本全体が少子化に向かう時代に先駆けた教育環境と言えるのではないでしょうか。
 結論として、新しい教育環境は、学校を統廃合するのではなく、反対に今の小規模学校をすべて残し、国からの補助金も活用しながら耐震化をすすめ、地域のコミュニティーの場として、さらには地域の防災の拠点として、災害時の避難拠点としてより有効に活用することでつくられると強く思います。
 パブリックコメントでも多くの町民が反対意見を述べているのにもかかわらず、強硬に新学校の建設を進めている町の計画を、今から止められるのかというと絶望してしまうのですが、こんなことをやっていてはますます能勢町の人口は減る一方だと思います。町がやるべきことは人口減少に合わせた学校の統廃合ではなく、日本社会全体が人口減少とGDPではかる経済成長の見込めない時代へと向かう中で、いかに人口が減少してもやっていける財政のあり方と、同時にその中でも少しでも人口を増やしていくために、国や府の政策を視野に入れながらも費用対効果の高い人口流入政策を探し、実行していくことなのではないでしょうか。
 その意味でも世界の流れに逆行する学校の統廃合はもってのほかで、反対に小規模校の可能性を追求し、せめて東地区の保育所を復活させるなどの子育て支援の政策こそが求められているのです。
 とくに、東日本大震災が教えてくれた最大の教訓が、原子力に頼り、GDPの成長がよりよい社会をつくるというこれまでの常識が悲しい幻想であったことを教えてくれたのだとしたら、世界基準の小規模学校を残し、発展させることによって子育てを支援するとともに、農業や観光や社会的企業をはじめとする若い人たちの「起業」の場の提供などの支援によって、能勢町を出て行った若い人たちが戻って来たり、他の町から移り住やすいように環境を整えるのがわたしたちの役割ではないでしょうか。
 もう間に合わないかもしれませんが今までの費用は勉強代として引き返し、新学校の建設をやめてほしいと願います。統廃合の根拠となっている旧文部省の通達や国の教育再生プログラムにまどわされ、大阪府と国だけが経費削減になるような学校の統廃合ではなく、むしろ府民牧場跡は能勢の入り口にもあたることから、観光と教育と生涯学習とコミュニティビジネスを推進する複合的な教育研究機関を誘致するというアイデアもあるかもしれません。その中で充実した宿泊施設の運用とコミュニティバスの復活で東西の連携を深めることも考えられます。どうしても学校建設にこだわるなら、もう一つ学校を増やし、現在の学校を新学校の分校にしてしまうというのはどうでしょう。

よくわかる学校再編・統廃合問題―行政・教育委員会のごまかし―
学校の統廃合について調べていたら、とてもわかりやすいWEBサイトをみつけました。
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: URL

2013.11.24 Sun 01:18

能勢町の学校統廃合に関することは、下記のサイトも見てください。
「能勢町 学校統廃合を考える」
http://starboys.blog.eonet.jp/

学校統廃合を再検討する会 : URL

Edit  2013.12.06 Fri 10:06

疑問だらけの新学校建設を公約にして当選したのに、新学校建設を推進する町長は、リコールするべきです。
リコールに関して協力してくださる方やご意見がある方は
jack.sparoh..@xxne.jp
まで

: URL

Edit  2013.12.16 Mon 08:01

能勢町長の山口は、茨木高校の校長で定年まで半年でした。
能勢町長の給料は月50万円以上でボーナスは数百万円、4年間も高給をもらって退職金は1500万円。
あさましい根性で成り上がった事よりも、町民を騙して「間違いだらけの新学校建設」という公約を破った事です。
この裏切りで、学校統廃合反対運動が全て潰されたのです。
この罪は重い。

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