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2013.07.03 Wed 島津亜矢「竹」(2010年10月17日「BS日本のうた」)

 島津亜矢の浅草公会堂のコンサートはお客さんの入りもさることながら、数々のすばらしいステージを作り出してきた島津亜矢の最高のステージで会場が興奮と感動に包まれたと聞きます。
 蒸し暑く、体調にも声の調子にももっとも悪条件の時期に、しかもかなりの過密スケジュールの中、とても元気で声の調子も最高ということですから、やはりこのひとの並外れた才能と努力、そしてなによりもプロフェッショナルとはいえ、その日その時間その場所にやってきたお客さんに楽しんでもらいたいと一生懸命になるひたむきさが、その場に立ち会ったお客さんの心をゆさぶるのだと思います。
 わたしの方は9月の大阪まで、しばらくはファンの方のコンサートの報告を読みながらテレビ出演とCDとDVDで楽しむしかありません。

 さて、6月30日の「BS日本のうた」は2010年10月17日に放送された分の再放送でした。島津亜矢は黒川真一朗とのコラボで「流れて津軽」の後、北島三郎の「竹」を熱唱しました。
 当時すでに島津亜矢のファンになっていたわたしでしたが、もっぱらテレビ番組とユーチューブの動画で楽しんでいましたので、当然のことながらこの番組も見ていました。
 いまあらためて見ると、歌のうまさや少し硬質で透明な声の美しさや音程を外すこともリズムが乱れることもない完璧な歌唱力に圧倒されます。実際のところ1曲か2曲、それもほとんどが(たとえばこの間の「名月赤城山」のようにフルコーラスでなければ成り立たない歌であっても)フルコーラスで歌わせてもらえません。そんな切り売りのような状態で本来のパフォーマンスを期待しても、また期待されても無理なところがあるにも関わらず、ここまで歌えるかと迫ってくる島津亜矢の歌にはある種の凄味がありました。
 最近の彼女はその完璧さの先に用意されたやわらかい色気を漂わせ、聴く者の心の奥の奥で静かな感動が匂い立つような歌を聴かせてくれて、たった3年でもこれだけの進化を遂げる裏に、たゆまぬ努力が隠されているのだと思います。そう思うとこれからの3年、10年がどんな島津亜矢をつくるのか、ほんとうに楽しみです。
 この日歌った「竹」は北島三郎の一文字のシリーズのひとつですが、島津亜矢は「竹」の他、「川」、「山」、そして一文字ではありませんが「年輪」などをカバーしています。北島三郎の歌には島津亜矢の恩師・星野哲郎が作詞した数多くの名曲があり、北島三郎本人のファンでもある彼女は北島三郎の歌を数多くカバーしています。オリジナル曲を別にして島津亜矢の才能が広く認められるきっかけになったのは「なみだ船」、「風雪ながれ旅」など、北島三郎の歌のカバーによるところもあったと思います。
 実際、レコード会社も事務所もちがうけれども北島三郎が島津亜矢をこよなく愛し、星野哲郎の跡をひきついで彼女をひそやかに見守っているようすが伺え、島津亜矢もまた北島三郎を尊敬し、慕っていることが歌に現れるのでしょうか、ベテランになった今でも島津亜矢が北島三郎の歌を歌う時はまるでデビューした時のように初々しく、ひときわ生き生きしています。
 その中でも、北島三郎が1980年代後半から歌い始めた「竹」や「山」や「年輪」などは、それまでのヒット曲とは一線を画したスケールの大きい冒険的な歌で、「山河」や「熱き心に」などとともに、時代や社会と向き合った数少ない名曲です。
 島津亜矢がこれらの歌を「BS日本のうた」で歌った映像をユーチューブで視聴すると、2000年代はじめにこれほどまでにこれらの歌の心をしっかりと受け止め、完璧に歌う彼女の魅力にとりつかれてしまうのはわたしひとりではないと思います。
 島津亜矢のオリジナル曲である「大器晩成」や「温故知新」は星野哲郎作詞・北島三郎(原譲二)作曲の名曲ですが、これらの歌は「竹」や「山」などでいかんなく発揮された島津亜矢のたぐいまれな歌唱力と「歌の大きさ」にほれ込んだ二人が彼女に届けたプレゼントだったのだと思います。
 北島三郎は作曲家としても多くの足跡を残す人だと思います。島津亜矢に提供した曲はこの他にも「北海峡」がありますが、彼女の「歌の大きさ」をよく知っている北島三郎が提供する楽曲は島津亜矢の原点に近いもので、ふたりの化学反応から「山河」に匹敵するスケールの大きな歌が生まれるのではないかと期待しています。

 この時の放送は、個人的にはどの歌い手さんも丁寧に歌っていて、とてもいいステージだったと思いました。「BS日本のうた」という番組はたしかに時としてマンネリ感がありますが、「歌謡コンサート」や「ミュージックステーション」とはまたちがい、めまぐるしく移り変わる世の中の暴力的とも思えるスピードから離れた荒野や路地裏から聴こえてくるなつかしさにホッとします。
 また、これぞ「BS日本のうた」の企画といえる番組後半の「スペシャルステージ」ですが、この時の五木ひろしと都はるみのステージはとても感動的でした。
 さすがにお二人とも長い歌手生活ですが、都はるみは私が高校生だった1964年のデビュー以後スター歌手として活躍してきましたが、五木ひろしはほぼ同じころにデビューするもヒット曲に恵まれず、1970年の「全日本歌謡選手権」から翌年、「よこはまたそがれ」でやっとスター歌手の仲間入りをしたという経緯があります。
 このステージでは、それぞれちがった道を歩いてきたものの、若いころからの友情がにじみ出て、しみじみと思い出をかみしめるような歌と語りが二人の実力歌手の共演以上の感動をもたらしました。
 とくに、五木ひろしの「山河」は、それらの数々の思いがこめられ、特別な歌になっていました。わたしは島津亜矢のファンとして彼女の「山河」にどうしても思い入れが強くあるのですが、さすがにこの日の五木ひろしの「山河」はオリジナルの歌手という以上の「歌の大きさ」を感じました。
 願わくば近い将来、この番組のスペシャルステージで二人の共演が実現し、この歌をコラボしてくれることを切望しています。

島津亜矢「竹」(2010年10月17日「BS日本のうた」)

島津亜矢「山河」

五木ひろし「山河」

小椋佳&ジョリージョーカーズ「山河」
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