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2013.01.03 Thu 脱成長の未来といきものがかりと古市憲寿

あけまして、おめでとうございます。
能勢の里山と田畑と川、めぐる季節とかけっこするようにはしゃぐ鳥たち、そよぐ風、きらきらにじむ星たち…。能勢の暮らしがいとおしく、心と体になじんできました。日々の暮らしはきびしくなるのかも知れませんが、ゆっくりと、また何か新しいことにチャレンジしたいと思います。
2013年1月、2度目の能勢の春を迎えて

2013年年賀状

 昨年の7月の誕生日で65才になり、自分自身少し変わったと思います。
 やろうとしてできなかったことや、やりたくてできなかったこと。やりたくないことをやってしまったことや、いつのまにかやってしまったこと。
 思い返せば後悔がないといえば嘘になるかもしれませんが、世間的なサクセスストーリーや一般的な価値観とはちがったことばかりを夢みてきたけれど、それはそれなりにおもしろく楽しい人生だったと思っています。
 これからはもう少しユルイ感じで生きていきたいと思います。
 その上で、わたしの30年来の見果てぬ夢だけは、これからも形が変わっても追いかけていきたいと思います。その夢とは、このブログのタイトルになっている「恋する経済」、ちがう言葉で言えば、「助け合い経済」、「マイナス成長でも豊かな経済」、「GDPでは計れない経済」が現実の経済システムの方向を変え、具体的に実現していくことです。
 先日の朝日新聞の記事によると、いま大企業では企業内失業者が増えているとありました。ヨーロッパではひとつの企業でずっと働くのではなく、結婚、出産、子育て、やりたい仕事などそのひとのライフステージにあわせて、休業手当(失業手当)や職業訓練など国が直接さまざまな助成制度を用意しているようです。
 日本ではもちろん失業保険や職業訓練などの制度がある一方、最近の65才定年制にあるように企業に雇用問題をゆだねる傾向にあります。そのため生産拠点を海外に移す流れが加速してもなお、経営状態の急速な悪化から大量のリストラが実行されています。そしてそれでもまだ足りず、企業が仕事を与えず、自然にやめていってくれればと企業内失業者の部署をつくっているそうなのです。
 ドラマ「相棒」は、そんなひとたちが「国家」そのものといえる警察組織に立ち向かう痛快な話でとても大好きなドラマですが、現実はそうはいかず、非正規雇用のひとたちや、ほとんどの障害者に限らず最初から働くことを期待されず、就労に就けないひとたちだけでなく、何年も企業の一員として一生懸命働いてこられた正規雇用のひとたちですら排除されようとしているのです。
 政権交代後の国はまたしても経済成長をめざしてカンフル剤のような財政・金融政策を実行しようとしていて円安と株高を誘発していますが、それによって報われるひとびととさらに困難になるひとびととの格差はより広がっていくように思えてなりません。
 当然のことながら、わたしもまたいわゆる「負け組」にいることはまちがいないのですが、わたしはグローバリズムと新自由主義経済のシステムに左右されないローカルな助け合い経済によって、貧乏ながらも雇用の場を増やし、ともに生きていける未来をつくることができないのかなと思うのです。
 その未来は今までの暮らし向きとはずいぶんちがうものになるでしょうし、所得もいままでの成長経済の下での常識とはかけ離れた低い所得になるでしょうが、いま「デフレ」が悪者扱いされていますが、そんなものではないもっと安い生活費でくらしていけることによって、バランスのとれた豊かな未来があるのではないかと思うのです。
 そういうわたしも高度経済成長とともに大人になり中高年になった世代で、昨日より今日、今日より明日と成長することで幸せになれるというのが社会の常識だった時代を生きてきたわけで、いままでの暮らし向きを捨てることがもっとも難しい世代だと自覚しています。
 しかしながら障害者の働く場づくりに参加してきた経験もたしかにあって、障害者とその仲間たちの所得は一般的な所得水準から言えばかなり低く、湯浅誠さんがいう「相対貧困」の極にあるものの、わたしたちがみんなで助け合って働き、その活動によって生まれた商品やサービスを購入・利用してくれる市民との協働でつくりだされるお金は、そのお金がわたしたちの手に乗るまでにかかわってきたひとたちの顔が見える、愛おしいお金だということもまたたしかな実感なのです。
 そして、少しまわりを見てみると、今の若いひとたちにとっては「失われた20年」などなく、経済が成長から停滞、成熟から減速へと進んできた時代の中から出発していて、かえってわたしたちの思いと重なるところがあるのかもしれません。
 1985年生まれの古市憲寿という若い学者が、「人は今日よりも明日がよくなると信じることができなくなったとき、将来に希望をなくしたときに、『今が幸せ』と感じるのではないかと思ったんです。仲間たちとのんびり、自分の身の回りの小さな世界で幸せを感じる。それが現代の若者の幸せの本質なんだと思います。」と言ったり、わたしが島津亜矢とおなじぐらい大好きな「いきものがかり」が、

風が吹いている 僕はここで生きていく
晴れわたる空に 誰かが叫んだ
ここに明日はある ここに希望はある
君と笑えたら 夢をつなぎあえたなら
信じあえるだろう 想いあえるだろう
この時代を 僕らを この瞬間(とき)を
(作詞作曲・水野良樹 いきものがかり「風が吹いている」)

と歌ったりする中に、わたしもおよばない想像力のかなたに日本社会の希望があるのかも知れないと思います。
 もっともそんなことを言えばまた、古市さんに「そっとしておいてくれません?」と言われそうですが・・・。
 ともあれ、わたしたちはわたしたちなりに人生の先輩のアドバイスも受けながら、脱成長時代の楽しみ方を作り出したいと思います。

いきものがかり 「風が吹いている」

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