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2011.09.12 Mon 島津亜矢「ロックン・ロール・ミュージック」

 島津亜矢が毎年のリサイタルで歌うポップスがどのように選曲されているのか、とても興味深いものがありますが、2006年、NHKホールでの島津亜矢リサイタル(収録DVD)では、「サウンド オブ ミュージック」、「エーデルワイズ」とともに、「ロックン・ロール・ミュージック」を歌ってくれました。
 ポップス系のカバー曲ばかりを収録したCD「Singer」での島津亜矢の歌唱力に多くの人が絶賛していますが、彼女を「演歌歌手」と言えるのか疑問に思うひとたちが多いことでしょう。それがまた、彼女の最大の魅力ですが、それがゆえに「演歌好き」のひとには歌の幅が広すぎてついてゆけないという声も時々聞きます。不思議にポップス系のひとたちは、音楽への好奇心が旺盛で、最初に「演歌」というハードルを越えてしまうと、島津亜矢をとても素直に受け入れ、ファンになってくれたりします。
 このDVDに収録されている「サウンド オブ ミュージック」のことや、名作歌謡劇場「お吉」については「こがれもんの手控え帳」さんのブログで、またこの年の広島でのリサイタルの模様はいつもわたしのブログを紹介してくださり、大変お世話になっている「Welcome to AYAHIME Land」さん「アーカイブ」でくわしく書かれていますので、それらをご覧いただきたいと思います。
 そこでわたしは、「ロックン・ロール・ミュージック」について書かせていただきます。

 島津亜矢がいかに幅広い素晴らしい歌手かを伝えようとすると、「アイル・オールウェイズ・ラブ・ユー」や「マイ ウェイ」などのバラードの名曲をオリジナルも真っ青なぐらいの豊かな表現力と天使のような透き通った声で歌ってしまうのを聴かせたいと、わたしも思います。その流れで行けば、たとえば尾崎豊の「アイ ラブ ユー」などを歌うとしびれること間違いないと思うのです。
 しかしながら、バラードの名曲を完璧な表現力で島津亜矢が歌えるのはわかりきったことで、わたしはそこに安住しないで時にはミスマッチかと思われる歌に挑戦する彼女が大好きです。そして、不思議なことにそのミスマッチと思える歌を彼女が歌うと、思いがけなく新しい彼女の魅力が現れるのを、ライブに行かれた方はおわかりになっていると思います。それはある意味危険な冒険でもあるのですが、お客さんをいつもとちがう遠いところへいざなうことで新鮮な感動を呼びながら、最後は「帰らんちゃよか」や「感謝状~母へのメッセージ~」など、彼女のオリジナル曲でいつものところへと引きもどしてくれる、そのバランスのとり方がとてもうまくプロデュースされています。

 さて、島津亜矢の「ロックン・ロール・ミュージック」はビートルズ時代のジョン・レノンを彼女なりにカバーしたものです。ご存じのようにこの曲は1957年にリリースされたチャック・ベリーの名曲で、ビートルズの演奏では、ジョン・レノンがリード・ヴォーカルを取り、イギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール』に収録されています。そして1966年、3万人の警官を動員し、大騒動となった日本公演で、重苦しい空気を突き破ってジョンが歌い出したのもこの歌でした。この時のエピソードについては、映画「マイ・バック・ページ」・ぼくの「マイ・バック・ページ」2のところで書きました。書きくわえれば、わたしにとってビートルズは数少ない友だちとのそれ以後の長い旅のはじまりで、音楽にしてもビートルズから入ってブルース、ジャズなど、海の向こうの音楽を知っていくことになったのでした。
 その意味からも、わたしがジョン・レノンを好きになったきっかけがこの曲とか「ミスター ムーン ライト」で、どちらも1964年12月に発売されたアルバム「ビートルズ・フォー・セール」に収録されているカバー曲であったことを、今更ながら知ることになりました。まさにどちらもジョンの絶叫が、当時のわたしたち若者を時代の眠りから叩きおこしてくれたのでした。
 こんなことを一気によみがえらせてしまう島津亜矢は、この歌を本来彼女が持っているリズム感で気持ちよく歌っています。ただ、彼女のリズム感はどちらかといえば重いリズム感で、R&Bなど黒人系の音楽なのかなとわたしは思うのですが、一方でジョンに通じるあの島津亜矢の「絶叫」がたまらなく破壊的で、肉感的で、この歌の刹那的な空気を表現していると思います。
 島津亜矢の歌う「ロックン・ロール・ミュージック」の訳詞は岡田冨美子で、「スシ食いねェ!」、「ロンリーチャップリン」など2000曲をアイドルから演歌歌手にまで提供している人気作詞家ですが、原曲とはかなりちがっています。ネットなどで調べてみたら、もしかするとこの訳詞はピンクレディに提供されたものかも知れません。(これは想像であって、ちがっていたらごめんなさい。)

何はなくてもロックン・ロール・ミュージック
からだを揺すり
心ゆさぶられて
あの世へ行くの
あなたといっしょに
飛んでいきたい 飛んでいきたい
              訳詞 岡田冨美子

ちなみに、原曲に忠実に訳すと

聞かせてくれよロック・アンド・ロール・ミュージック
どんなやり方だって構わない
聞き違えようのないバックビート
どんな時に使っても
とにかくロック・アンド・ロール・ミュージック
俺と踊るなら
俺と踊るなら

となります。

 岡田冨美子の訳詞はほんとうに大胆ですが、女のひとがこの歌の主人公ならばと考えると、先ほど言ったこの歌の「たまらなく破壊的で、肉感的で、この歌の刹那的な空気」を見事に表現していると思います。島津亜矢は英語の原曲でこの歌を歌うこともできたのかも知れませんが、渡世人の破壊的で、刹那的な心情を見事に演じる島津亜矢なら、その女性版もまたジョン・レノンばりの絶叫型のボーカルで歌いきることができるのだと思いました。


「ロックン・ロール・ミュージック」1966年 ビートルズ日本公演

 最近、ユーチューブで島津亜矢の動画が削除されています。これでNHKが動き、BSの動画も削除されたら、簡単に彼女の魅力を伝える手段がなくなってしまいます。さらに、NHKの編成で、最近彼女がBSに出る機会も減っています。
 わたしたちファンはひとりでも多くのひとに彼女のことを知ってもらうことぐらいしかできないのですが、その手段もせばめられてきて歯がゆいものを感じますが、わたしは自己満足であることを承知の上で、これからも彼女の記事を書き続けようと決心しています。

「Welcome to AYAHIME Land」さん

「こがれもんの手控え帳」さんのブログ
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