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2011.06.12 Sun わたしのあかし あなたのために 島津亜矢

 昨夜はひさしぶりに友人の家でお酒を飲み、おいしい手料理を食べながら楽しいひとときをすごしました。年に1、2回しか会わないけれど、まったく同い年の4人に少しだけ若い1人、それに30代の青年といういつもとおなじメンバーで、昨夜はそのうちの一人の誕生日のお祝いで集まったのでした。
 去年の今頃集まった時、わたしは島津亜矢ファン宣言をしました。「誕生日パーティー」の主役の友人はとても博識というか雑学というか、何十年分の現代用語辞典が頭に入ってるぐらい、哲学からアイドルまで詳細情報までよく知っています。その彼が「島津亜矢は知らんぞ」と言い、すこし悔しがったことを覚えていますが、さすがに今はインプットされていて、原発の話と島津亜矢を同時に語りあいました。
 島津亜矢が歌うカバー曲がユーチューブにたくさんあるのですが、石川さゆりの「天城越え」、中島みゆきの「地上の星」、ちあきなおみの「かもめの街」などの名曲を歌うとオリジナルを越えられないと、ユーチューブのコメントでも批判的なものが多いのです。やはりそういう歌は歌わない方がいいのではないか、とみんなは言いました。わたしは、完璧な島津亜矢ファンとして、どちらかというとたくさんの批判があるカバー曲の時の島津亜矢に、こじんまりとまとめてしまえない彼女の天才と、積み重ねる努力とのせめぎ合いが「のびしろ」をつくり、この先どのように変貌していくのか、その可能性にワクワクしてしまいます。「ファンはどんなことでも受け入れる」と言われましたが…。
 彼女がいろいろな歌を歌えるのは癖のない透き通った声、張りのある硬質の声、反対にやわらかくてねばりのある声と、たくさんの声を一緒に出せる天賦の才に加えて、その声を歌によってさまざまに使い分ける不断の努力の結果だと思うのですが、たしかに歌によってはミスマッチと思われるかも知れない場合もあるとは思います。けれども、オリジナルを越えようが越えまいが、彼女にとってはそんなことはどうでいいのだと思います。ひとは歌をつくり歌を歌い歌を聴くことで心洗われ、いのちも救われてきた(「歌路遙かに」)のだとしたら、古い昔から今までに誕生した無数の歌、世界の人口の何倍もあるだろう歌の星くずとなった忘れ去られた歌、誕生する前に消えて行った歌たちをすくいあげ、よみがえらせるのもまた彼女の使命なのかもしれません。

歌のひとつに まことつくす想いでいるのです
歌のひとつにわたし まごころこめているのです
わたしのあかし あなたのために 
うたいたい うたっていたい
島津亜矢が大好きだという「マイ・ウェイ」や、レオン・ラッセルの「ア・ソング・フォー・ユー」など、国内外を問わず歌い手が歌手としてのみずからを歌う歌はほんとうにたくさんあります。彼女の歌手生活25周年を記念してつくられた小椋佳作詞作曲「歌路遙かに」はそんな歌の一つですが、歌うことを運命づけられた島津亜矢の心情、覚悟、決意をみごとに歌いあげた傑作です。この曲から彼女のファンになる方もたくさんいると思います。
 そして、大阪の新歌舞伎座ではじめて聴きましたが、今回のステージでも6月22日発売のアルバム「悠悠~阿久 悠さんに褒められたくて~」の中から、浜圭介作曲の「運命」、弦哲也作曲の「恋情海峡」の2曲を歌いました。「歌路遙かに」とはまたちがい、彼女はこの2曲で恋に生き、恋にまどい、恋に悩む女の情念を島津亜矢流に見事に歌っていて、彼女の新境地を開く可能性を観たお客さんもたくさんおられたのではないでしょうか。アルバムの発売日が近づいてきましたが、この2曲を含めた10曲を島津亜矢がどう歌っているのかとても楽しみです。(ちなみにわたしはすでに大阪府箕面市の「ピッコロ」というCDショップに予約しています。)
 
前回も書きましたが、今回のコンサートでの島津亜矢はほんとうに艶やかで、そして、どの歌もこんなにていねいに歌えるものかと思うほどひとつひとつの歌を大切に歌っていました。でも、彼女はどの街のどのステージに立ってもぶれない心と強靭な意志で、自分の歌を必要とするひとに届けるために、精いっぱい歌っているのでしょう。
 だから、わたしは早く東北の被災地でコンサートを再開してほしいと思います。これはわたしの勝手な想像ですが、心優しすぎる彼女は、被災地の人にも自分の歌で少しでも心を和らげてくれたらと思う一方で、過酷な状況にあるひとたちの前で歌うことが傲慢にも思うのではないでしょうか。まして、津波で幾多の命が奪われ、住む家も働くところもなくし、「海が憎い」と言った被災者の声を聴くと、星野哲郎の作詞による数々の「海の歌」を歌うことは彼女にとってとても勇気のいることではないかと想像します。
 しかしながら、そんな優しい彼女の気持ちを、東北のファンのひとたちはわかっていると思います。そして、ほんとうに多くのひとたちが彼女の来るのをひたすら待っているのではないでしょうか。
 そんなことを思っている間に、コンサートは終わりました。ステージの左右両端でそれぞれ深々とお辞儀をし、ステージの中央で両手を左右に広げた後マイクを抱くようにして両腕を交差します。そして舞台に膝まづきながら深々と頭を下げるいつもの姿は何回観ても泣けてきます。芸能のルーツ「河原乞食」の潔さを今に体現する、すばらしいパフォーマンスを最後の最後に見せてくれて幕がおります。
 
 これで3回目になりましたが、同じような演目なのに何度見ても一向に厭きないのが不思議です。これをファンというのですね。おそらく10月ぐらいから新しいツアーが始まるのでしょう。秋にはまたちがった島津亜矢が観れることでしょう。とても楽しみです。


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