FC2ブログ

ホーム > カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

2018.11.15 Thu 再録記事2016.11.04 映画「ストロベリーショートケイクス」と壁掛けカレンダーの役割

illust3-4l.jpg

 わたしは豊能障害者労働センターと関連団体在職時にまたがった20年ほど、カレンダーの企画販売にかかわっていました。
 当初はただただ障害者スタッフをふくむ全員の給料と年末一時金をつくり出すためのお願いをするだけでしたが、企画を続ける間に、一年間カレンダーを壁にかけてくださるひとびとがどんな思いでカレンダーを見つめ、一年の間の大きな出来事や小さな出来事のさ中にもカレンダーの次のページにどんな夢を重ねてくださっているのだろうかと、想いを馳せるようになりました。
 また一方で世界のいたるところで悲鳴を上げている子どもたちが、ささやかでもいい、安心して暮らせる平和な日々が送れるために、北大阪の片隅で生きる非力で貧乏なわたしたちに何ができるのだろうと思ってきました。
 そして今、世界の子供たちの悲鳴は、豊かで平和に暮らしているはずのわたしたちの社会の子どもたちの悲鳴でもあると強く感じます。誰も傷つかず、誰も傷つけず、このかけがえのない地球でいきるすべてのひとがその日の糧を分け合い、明日への希望をたがやすために平和を願うことは夢物語でも理想でもなく、さまざまなひとびとが助け合って生きるための厳しい勇気をともなうことを、カレンダーにたずさわった20年が教えてくれました。そのあいだに書いてきたカレンダーへの想いを再録記事とさせていただきました。

2016.11.04の記事
 棺おけをベッドにした風変わりな部屋。マウンテンバイクと大きな水槽。薄暗い部屋に影絵のように忍び込む柔らかい光。デリヘルの仕事用の靴と、好きな男に会いに行くためのズック。そしてトランクに無造作に放り込まれた札束。
 デリバリーヘルス店「ヘブンスゲート」のNO.1デリヘル嬢・秋代は、その仕事とは裏腹に、専門学校の同級生・菊池に一途な片思いを募らせている。 
 かけられたカレンダーは月の満ち引きのデザインで、そこに一日だけ「きくち」と書き込まれている。
 「スペシャルな人のスペシャルになりたい」と恋の訪れを願う里子。好きな男に告白もせず、「ともだち」でいることをかたくなに守りながら、デリヘルの仕事をしている秋代。自分らしく生きようと必死になるために過食と嘔吐をくりかえす塔子。やりがいのある仕事もなく、自分の居場所を男に求める結婚願望の強いちひろ。
 魚喃キリコのコミックス原作、矢崎仁司監督の映画「ストロベリーショートケイクス」は、少し極端ではありますが、きっと女性ならだれでも共感できる4人の女性の日常を切り取っていきます。イチゴケーキのようには甘くはない現実をうけとめ、淡々と生きる彼女たちの日常は痛々しいがとてもいとおしく、思わず抱きしめたくなるのです。
 そして幸せを求める彼女たちの日常がそのままわたしたちの日常に紛れ込み、切ないイチゴケーキとなって残る、そんな映画でした。
 この映画を観ていて、わたしの目に焼きついたのが秋代の部屋のカレンダーでした。一途に思いつづける「きくち」に電話をかけ、田舎の実家からトマトを送ってきたからあげるといって約束し、近所のスーパーでトマトを買います。
 仕事のときとはうって変わり、洗いざらしのTシャツとジーンズ。化粧もせず、黒ぶちのめがねをかけて坂道を自転車で走る後姿は、純愛に心焦がす彼女の本当の姿なのです。
 「きくち」には彼女がいて、決して報われないことを知っているからこそ「友だち」を装い、居酒屋でわざと乱暴な言葉づかいで飲んでいる後姿もまた、肩のふるえが伝わってきます。
 こんないとおしくせつない彼女の恋の記念日が、カレンダーの一ヶ月分に一回あるかないかの「きくち」というメモに記されています。それ以外のメモはいっさい書かれていないのでした。持ち歩く手帳や携帯電話のカレンダーにはない、壁掛けカレンダーの切実な役割がそこにはあります。

 わたしはといえば高校を卒業して友だちとアパートに住みはじめ、それから何度となく引っ越しをしました。
 一人暮らしをしたり、友だち何人かと暮らしたりしてきましたが、不思議にその頃はカレンダーにかかわる思い出はありません。定職にもつかず、ビルの清掃などで貯めたお金で1年間は昼と夜が逆転する生活をしていました。そんな暮らしにカレンダーなど必要なかったのでした。
 この映画に登場するひとたちと同じように、無垢ともいえる青い時を通りすぎた後、自分の暮らしやこれからのこと、かなわなかった恋、ふるいにかけられて残った友だち、心のひだにしみこんだ後悔…、そんな切ない日々を通り過ぎた部屋には、いつのまにかカレンダーが掛かっていました。
 世界の現実に目を向ければ、悲しい記念日に埋めつくされ、カレンダーのどの1日からも悲鳴が聞こえてきます。1995年1月17日や2001年9月11日、たくさんの世界の悲しい記念日は特別であるはずのひとりひとりの死をかくしたまま、何千、何万、何百万と死者の数を数え、おびただしい血で書き込まれた記念日を積み重ねてきたのでした。
 その血塗られた瓦礫となった壁にもまた、カレンダーは掛かっていたことでしょう。この世界の誰彼にとって特別に悲しい記念日が1年365日では足るはずもない現実もまた、たしかにあります。
 けれどもその一方で、この世界に生きる70億の人々の、だれかの誕生日でない日などないのではないでしょうか。さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもまた、たしかにあります。わたしだけの大切な記念日があるように、わたしの知らない、世界でたったひとりの誰かの特別な記念日もまた、カレンダーにはかくれているのだと思います。
 そんなことを思うと、わたしたちと松井しのぶさんと多くの関係者がつくりあげたカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」が、どんなひとのどんな部屋に掛けられ、どんな日々をみつめることになるのか、期待と不安とせつなさでいっぱいになります。
 そして、いろいろなひとがちがった思いでちがった日に書き込みを入れてくれることを願います。このカレンダーが2万人の方々に届いたならば、1年365日のうちの1日だけでもいいから2万の特別な記念日になることを願ってやみません。
 そして…その1日がもし悲しい記念日になったとしても、このカレンダーがその日をやさしく抱きしめてくれることを願っています。
web拍手 by FC2

2018.10.20 Sat 2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」イラスト作者・松井しのぶさんの手紙

illust5-6l.jpg
2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」5月6月のイラスト

「みんなどこかに痛みを持っている」              松井しのぶ

 どんなに幸せそうな人でも、大なり小なり差はあるにしても、どこかに悲しみや苦しみや痛み、ほんの少しの不幸の種を持って生きている、そんな事を思う日々。
 そんな不幸の種は決して悪いものでは無くて、だからこそ幸せになりたい、笑顔でいたい、そう思いながら毎日を精一杯生きる力に変えるものであるような気がします。
 そういったものを心に抱えているからこそ、他者の痛みに共鳴し、心を動かされ優しくありたいと思ったり、また同じく、それぞれが抱えた悲しみや苦しみや痛みの分だけ他者の優しさがわかるものだと思います。
 2018年は次から次へと自然災害が続き、災害と一言で言い切ってしまうにはあまりにも沢山の人の痛みが伴っていて、想像に余りあります。
 不幸の種の話と自然災害は少しニュアンスが違うかもしれませんが、「やさしいちきゅうものがたり」を私は毎年綴っていて、これも人の心の中と同じように現実には「やさしいちきゅうものがたり」は「やさしくないちきゅうものがたり」も内包しているんだなって、カレンダーを見ながらふと思うのです。それぞれのお家でカレンダーにつけられた様々なメモ書きには「やさしいちきゅうものがたり」に綴られる「やさしくないちきゅうものがたり」があるのかもしれない、あなたのカレンダーにどれほどのそういったものがたりが綴られているのでしょうか?
 あなたが綴ったカレンダーの中に「やさしくないちきゅうものがたり」があったとしても、その綴られた悲しい記憶、不幸の種から新しい優しさが生まれて来る、そんな風に思いたいです。「やさしくないちきゅうものがたり」を「やさしいちきゅうものがたり」に変えてゆくのはあなた自身だとも。
 2019年がどんな年になるのか、想像ができないですが、もしも来年の「やさしいちきゅうものがたり」に悲しい記憶が綴られてしまったとしても、良い事や悪い事にめぐり合うのも一つの縁であるなら、たとえそれが痛みを伴うものだったとしても、できればそこから幸せが生まれて来るような縁になりますように、未来へと繋がるそれぞれの優しいものがたりが綴られてゆく事を願ってやみません。
 それぞれが胸の中に抱えた不幸の種には優しい花を咲かせる力を持っている、それは美しい花でありますように、幸せな花でありますように…。

2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」
illustration 松井しのぶ(C)SHINOBU MATUI 1100円

カレンダーのご購入は
豊能障害者労働センター
TEL072-724-0324 FAX072-724-2395
E-Mail info@tumiki.com
豊能障害者労働センター・積木屋のサイトからもご注文できます。

illust7-8l.jpg
2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」7月8月のイラスト

web拍手 by FC2

2018.10.15 Mon 2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

illust1-2l.jpg
2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」1月2月イラスト

このほしがすき
このほしをいきるひとびとの
かなしみさえもきぼうにかえる
このほしがすき
ともにいきるゆうきをおしえてくれる
このほしがすき
そしてどこかのそらのしたで
あすをいきるあなたがすき

2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」
illustration 松井しのぶ(C)SHINOBU MATUI 1100円

カレンダーのご購入は
豊能障害者労働センター
TEL072-724-0324 FAX072-724-2395
E-Mail info@tumiki.com
豊能障害者労働センター・積木屋のサイトからもご注文できます。

illust3-4l.jpg
2019年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」3月4月イラスト
web拍手 by FC2

2017.12.09 Sat さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもある。

ca2018chirashi.jpg

今年も豊能障害者労働センター機関紙「積木」に、カレンダーの記事を書かせてもらいました。


おもわずだきしめたくなるカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」
遠い遠いどこかの大地で同じ星を見ているあなた
遠い遠いどこかの駅のホームに立っているあなた
そして世界の希望の一年がやってくる

カレンダー「やさしいものがたり」の誕生
 松井しのぶさんのイラストによるカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」が、2018年版で13作目を数えることになりました。
 そもそも、カレンダー事業は障害者の働く場と所得をつくりだすために結成された障害者労働センター連絡会によるカレンダー「季節のモムたち」がその前身でした。
2003年、イラストを描き続けてくれた吉田たろうさんが亡くなられ、途方に暮れながらも後継のイラストレーターを探さなければなりませんでした。
吉田たろうさんのイラストは、地球上の小さないのちを大切にし、障害者の生きやすい社会をつくるというコンセプトでした。
わたしたちはその想いに加えて阪神淡路大震災、アメリカ同時多発テロなど頻発する自然災害やテロ、紛争でこどもたちが傷つき、いのちまでも奪われる理不尽に立ち向かう世界の人々と共に平和に生きる勇気を耕したい、そんな思いを新しいカレンダーに託したいと思いました。
 報酬は少ない上に、わたしたちの願いを表現してくれるイラストレーターを見つけるのは困難を極めましたが、インターネット検索を繰り返し、松井しのぶさんのイラストを発見したのでした。
 ナチュラルな色づかいとソフトなタッチのイラストは愛らしいメルヘンでもあり、月夜にきらめくファンタジーでもあり、その透明な光のキャンバスの上で記憶と夢が溶け合っています。
 2003年は米英軍を中心とする多国籍軍のイラク侵攻によってイラク全土が破壊され、イラクの民間人の死者の数は10万人とも20万人ともいわれています。
 わたしの記憶では、空爆の様子がテレビ中継されていました。夜のバグダッドの街に次々と爆弾が落とされる情景をテレビで見ている自分自身のおぞましさ、恐ろしさ、うしろめたさは今でも忘れることができません。
わたしは松井さんのイラストを見て、そのイラストの向こう側にだきしめたくなるノスタルジーと未来への強い意志、平和の祈り、希望がぎっしり詰まっていると思いました。
わたしたちの願いのすべてが松井しのぶさんのイラストにあることに、驚きとともに奇跡といってもいい運命を感じました。
 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」はこうして誕生しました。

カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は平和を願う手紙
 2011年、日本も世界も立ち止まらざるを得なかった東日本大震災をきっかけに、豊能障害者労働センターは世界の窮民の自立経済と被災地の自立支援をつなぐ障害者市民事業プロジェクトとして商品開発を進め、全国に点在するカレンダーの共同販売ネットワークを通じて届けてきました。

 わたしは壁掛けカレンダーが好きです。スマホやタブレットに時が閉じ込められてしまった今、壁掛けカレンダーの役割は少し変わったのかもしれません。
しかしながら、時代が猛スピードで過ぎ去った後に残る記憶は、その時代を生きたひとびとの人生の証しでもあります。
 子ども時代の戦争の傷跡、鉄条網と牛糞と黒い土と、ハーモニカと布のボールと進駐軍のジープ…。青春時代のデモとゴーゴー喫茶とボブ・ディランと天沢退二郎の「宮沢賢治の彼方へ」と寺山修司の「家出のすすめ」…。そして、豊能障害者労働センターとふたつの震災と被災障害者支援「ゆめ風基金」とKさんの死…。
世界の現実に目を向ければ悲しい記念日に埋めつくされ、カレンダーのどの1日からも悲鳴が聞こえてくるようです。
けれどもその一方で、この世界に生きる74億の人々の、だれかの誕生日でない日などないと思います。さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもまた、たしかにあるのです。
そして今、わたしたちは北朝鮮との武力衝突があるかもしれないという現実にさらされています。わたしたちの住む日本にも北朝鮮にも韓国にも、たくさんの子どもたちがいます。明日のいのちがどうなるかわからない不安と恐怖と緊張のただ中で身をかがめ、心を固くしているこどもたちがわたしたちと同じ思いで同じ空を見つめていることでしょう。
わたしたちは、どんな強力な武器よりも共に生きる勇気を育てること以外に「安全で平和な社会」をつくれないことを知っています。わたしたち人間は言葉も個性も希望も夢も国籍も民族も年代もちがっても、つながることができるはずです。
 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は平和でなければつくることができません。
だからこそ今年もカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」に託された平和への願いが、一人でもたくさんの方に届けられることを祈っています。

web拍手 by FC2

2017.11.29 Wed そして世界の希望の一年がやってくる。カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」に寄せて

ca2018chirashi.jpg

クリスマスソングが街にあふれ
あわただしいときが走り抜ける
かなしかったこともうれしかったことも
せつなかったこともおかしかったことも
さびしいわかれもたのしい出会いも
ささいなできごともおおきな紛争も
まるで一年のはじめから
わかっていたように
思い出というカレンダーにきざまれる
遠い遠いどこかの大地で
同じ星を見ているあなた
夜のむこうの冷たさが頬を凍らせ
必死で声を出そうとしているあなたの
冬の心はまだ
詩にもならず歌にもならず
爆弾でこわれてしまった部屋の壁には
いつかのアイドルと
英雄の古びたピンナップと
肩を並べるように寄り添うカレンダー
あなたの記憶のぼんやりとした岸辺で
世界の悲しい一年がさよならしている
一月一日から十二月三十一日まで
時にただの数字の並びが
不思議な物語に思えることがある
遠い遠いどこかの駅の
ホームに立っているあなた
そして世界の希望の一年がやってくる



 
あなたの出会いの記念日に 
お届けします!時の花束

障害者市民事業ネットワークカレンダー series13
やさしいちきゅうものがたり
illustration  松井しのぶ
●カラー6枚つづり●たて62cm×よこ30cm 1,000円 全国一律送料無料
お申し込みは 豊能障害者労働センター
tel:072-724-0324 fax:072-724-2395
通信販売サイト・積木屋からもご注文できます。
今年もなにとぞご協力よろしくお願いします。


web拍手 by FC2