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2016.12.26 Mon カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」・最後のご案内

2017年カレンダー3月4月

心よ、心 ここから
いちばん遠いところ
心よ、心 世界で
いちばん小さなわたしの森
心よ、心、 世界で
いちばん小さなわたしの海
心よ、心 たとえば
あなたと手をつなぐこと
心よ、心 たとえば
あなたに手紙を書くこと

今年最後のご案内です。

2017年、あなたの出会いの記念日に
お届けします!時の花束
障害者市民事業ネットワークカレンダー series11
やさしいちきゅうものがたり
illustration(c)松井しのぶ
●カラー6枚つづり●たて62cm×よこ30cm
1,000円 全国一律送料無料
お申し込みは 豊能障害者労働センター
tel:072-724-0324 fax:072-724-2395
通信販売サイト・積木屋 http://www.tumiki.com
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2016.11.30 Wed 松井しのぶさんとシュールレアリスムとわたしの青春 採録

2017年カレンダー9月10月
2017年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」9月10月イラスト (C)松井しのぶ

だれもが心の底に
なつかしい風景をかくしている
そこでは行方不明の夢たちが
かがやく朝を待っている

 たとえば若い頃のヒットナンバーがラジオから流れたとたん、何十年も前の出来事や住んでいた街の風景を一瞬に思い出すことがあります。その風景の些細な部分がくっきりとよみがえるのです。そんな経験はだれもがもっていることでしょう。
 友だちや好きだったひととお茶を飲んだ喫茶店の壁の色からテーブルの形、コーヒーの香りとカップの手ざわり…。そして、若いわたしはテーブルの前に座っているだれかとコーヒーを飲んでいます。何十年も前からずっとそうしていたかのように。
 松井しのぶさんのイラストをはじめて見たとき、わたしはそんな驚きとなつかしさで心がいっぱいになりましました。
 わたしは高校の時、美術部に入っていました。といっても毎年4月の2週間ほど石膏デッサンをするだけで、3年間に一枚も絵を描かなかった部員でした。小学校、中学校とまわりから絵が上手といわれていい気になり、美術部に入っただけでした。
 大阪市内の工業高校に入学したわたしは、学校に行くのがずっと苦痛でした。1年の時はまだ専門課程の建築を勉強しましたがすぐにいやになりました。いつも反抗的でありながらおどおどしていて、教師にも同級生にもけっして心を開きませんでした。
 といっても、なにも学校や同級生に問題があったのではありません。ただ単にわたしが吃りで対人恐怖症だっただけでした。他人からみればなんでもないことかも知れないのですが、背丈をこえる巨大な劣等感におしつぶされるのを必死にこらえていました。
 美術部に入ったおかげで、そんなわたしにも友だちができました。当時流行したこまどり姉妹の不幸な身の上話の歌ではありませんが、「どもりで私生児で貧乏」とくればこれ以上の不幸は誰にも負けないと思っていたのですが、わたしのともだちはそれ以上の事情をかかえていて、そのことがわたしたちの結束力を高めることになりました。
 「死のう会をつくれへんか」と声をかけてきたのは、機械科の先輩でした。わたしが「詩の会だったらいいよ」というと、どちらでもいいということになりましました。実存主義にかぶれたわたしたちはよくわかりもしないのに哲学の話をよくしました。
 それからすぐ、ふたりの生徒が死にました。ひとりはその機械科の先輩の同級生で、優等生の彼は一流企業への就職が決まってすぐのことでした。もうひとりは、わたしの同級生で、たしか喘息の発作で死んだのだと思います。彼が死ぬ1週間ほど前に「ぼく、公園で男と女が抱き合ってるのを見てしまった」と言ったのを今でもおぼえています。卒業写真の丸枠に入ってしまった彼の影の薄い顔写真を見ながら、わたしは「あいつはそれを見たから死んだんや」と、今から思えばとても残酷な納得をしました。
 そんな暗くてあぶない高校時代に、わたしをわくわくさせたものが「シュールレアリスム」でした。キリコ、デルボー、タンギー、マグリット、ブルトン、エリュアール……。
 正直言えばそれらに感動する感性を持ち合わせていなかったし、いまもよくわからないのですが、それらが放つ魔力にとりこになってしまったのでした。
 わたしはそれ以後、美術、演劇、映画、詩、音楽など、いろいろな表現行為や作品に興味を持つようになりましました。何十年もたって豊能障害者労働センター在職時にライブやイベントをプロデュースしたり、カレンダー、ポストカード、Tシャツなどの制作を手がけたのもそこから始まったのだと思います。
 松井しのぶさんのイラストは、「シュールレアリスム」と出会ったその時代にひきもどしてくれました。彼女のイラストにはどこかほの暗く、やさしい透明な光があって、そこでは過去と未来が、記憶と夢が溶け合っています。そして、だきしめたくなるノスタルジーの中に、未来への強い意志、願い、祈り、希望がかくれています。
 真っ青な空、限りない緑、暖かい赤……、小さな一枚の絵の隅から隅まで、この世界の、空の、海の、森のすべてのいのちへのいとおしさに満ちあふれています。
 わたしの心もからだも青かった1963年から1970年までの7年間、正義と裏切りと野心と希望に溢れた時代の中で、わたしは自分に腹を立てながらどうしようもない時を生きていました。すべてを「どもり」のせいにして、狭い心の地下室に閉じこもっていました。それでもいまふりかえると、その7年間がまちがいなく今のわたしをつくったのだと思うのです。それ以後今までめざましいことをなにひとつして来なかったし、先行きとても不安な人生であることはまちがいありません。
 けれどもその7年間がなければ、そのころには思いもつかなかった障害者をはじめとする多くの友だちとは出会うことはなかったでしょう。いまわたしが生きてきたすべてのことがら、すべての感じ方、すべての行動、「わたしのものがたり」はその7年間に、まだ記述されない未来としてかくされていたのだと思います。
 わたしはいま、その7年間の自分自身を抱きしめたい。「ありがとう。だいじょうぶだよ」と…。

2017年カレンダー11月12月
2017年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」11月12月イラスト (C)松井しのぶ


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2016.11.18 Fri 優しい夢と手をつなぐ  松井しのぶ カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」のイラストレーター・松井しのぶさんが、カレンダーを制作している豊能障害者労働センター機関紙「積木」に寄稿された一文を転載します。
 松井さんのイラストの裏側には青みがかった薄闇が隠れていて、それはちょうど夜がまだ気配を消さないまま、朝の光が忍び寄る寝室の窓ガラスのようです。
 とりわけ今年は、今までは絵画的だったイラストがまるで一本の映画のようです。こんなことを書くと松井さんに叱られるかも知れませんが、お父さんが同居されるようになり、日常の暮らしの中で時々起きる事件が「採用されなかった映画のエピソード」として貯金され、意味もなくささやかではありますが豊かな物語となって彼女の指先からあふれ出ているようなのです。沢木耕太郎のエッセイ集のタイトルではありませんが、世界は「使われなかった人生」であふれているのですね。


優しい夢と手をつなぐ     松井しのぶ

 小さな身の回りで起きている些細なことから世界のことまで、世の中の空気が自分の肌までピリピリとさしてくるような、そんな様々な辛いニュースばかりついつい目がいってしまう……今日この頃。先日たまたま「グレースオブモナコ」という映画をテレビで見る機会があり何気なく見るとはなしに見ていたのですが、その映画のクライマックスでモナコ王国がフランスに封鎖されて侵略の危機にあり、もう打つ手も無くなったという国の存亡がかかった場面でグレース王妃が各国の代表を招いた赤十字の晩餐会でスピーチをするという場面で、それまでただなんとなく見ていただけだったのに、そのスピーチの内容にすごく引き込まれてしまいました。今日はその言葉を機関紙を読んでいる方々にもシェアしたくて、長いスピーチなのでその中の言葉から私が選んだ言葉を抜粋したのですが紹介しますね。
※  ※  ※
子供じみていますが
私はおとぎ話を信じます
心から望めば実現するはずです
どんな努力も惜しまない覚悟があれば
世界は変えられると信じています
憎悪や衝突も消えるに違いありません
代償を払う覚悟があれば
私にとってモナコはそういう国です
私は軍隊を持っていません
誰の不幸も望みません

自分のできる範囲で
少しでも世界を変えるために
私はここにいます
でも破壊する人がいれば
現実もおとぎ話も終わりです
気に入らないから破壊する人々がいます
当然の権利とばかりに
幸福や美を破壊する権利は
誰にもありません
それは許されない事だと教わりました
そんな世の中には住みたくありません
愛があれば
解決できるはずです
なぜなら愛の力を
信じているからです
愛の力があれば
武器や攻略や恐怖や差別はなくなり
世の中が正しい道に導かれます
だから今夜は愛を賛美したいのです
私は愛を守り抜きます
皆さんも各自の方法で
努力してください自分の社会の中で
※  ※  ※
 世間をよく知っているという人たちは「愛があれば解決できる」なんて、甘いおとぎ話の演説と一笑されるかもしれません。このスピーチはグレース王妃が実際に語った言葉ではなく全くのフィクションなのだそうです。ただこの映画の監督がこの言葉を入れたかった気持ち、今の世界にどんな気持ちが必要なのか、こんなおとぎ話のような言葉をあざ笑うような人がこの世の中に確実に増えている危機感からのような気が私はするのです。
 そして私もそのおとぎ話の住人です。

 ピックとニックと旅をしながら、優しい世界に出会うために、そのおとぎ話の物語を紡いでいます。同じ気持ちの誰かと出会うために、違う気持ちの誰かと手をつなぐために、そして愛で語り合うために…ピックとニックがあなたの心の中で新しい優しい物語を紡いでくれることを祈りながら…。

 そして思うのです、一人一人がそんな気持ちで生きて行ける世の中、そういうものを心の中に育てることができる世の中はどこからか勝手にやってくるものではありません。一人一人が、自分自身が、本気でそう思って、諦めている自分を変え、そして世界を変えてゆくしかないと感じています。マイケルジャクソンが歌っている「マンオブザミラー」の歌詞ように…(世界を変えたければ、まずは鏡の中の自分を変えようという歌詞です)だからこそたくさんの人にど〜〜〜んとハートの爆弾を落としたい、殺伐とした武器ではなく世界中を暖かい愛の心でいっぱいにしたい。そんな思いを込めて2017年もカレンダーを描きました。
 明日のあなたの心にしっかりとした強い思いの愛がキラキラと輝いていますようにと♡
 そして手を取り合って未来に歩いて行けるようにと…。

*ピックとニックはカレンダーのイラストに登場するキャラクターです。

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2016.11.04 Fri 映画「ストロベリーショートケイクス」と壁掛けカレンダーの役割 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

 棺おけをベッドにした風変わりな部屋。マウンテンバイクと大きな水槽。薄暗い部屋に影絵のように忍び込む柔らかい光。デリヘルの仕事用の靴と、好きな男に会いに行くためのズック。そしてトランクに無造作に放り込まれた札束。
 デリバリーヘルス店「ヘブンスゲート」のNO.1デリヘル嬢・秋代は、その仕事とは裏腹に、専門学校の同級生・菊池に一途な片思いを募らせている。 
 かけられたカレンダーは月の満ち引きのデザインで、そこに一日だけ「きくち」と書き込まれている。
 「スペシャルな人のスペシャルになりたい」と恋の訪れを願う里子。好きな男に告白もせず、「ともだち」でいることをかたくなに守りながら、デリヘルの仕事をしている秋代。自分らしく生きようと必死になるために過食と嘔吐をくりかえす塔子。やりがいのある仕事もなく、自分の居場所を男に求める結婚願望の強いちひろ。
 魚喃キリコのコミックス原作、矢崎仁司監督の映画「ストロベリーショートケイクス」は、少し極端ではありますが、きっと女性ならだれでも共感できる4人の女性の日常を切り取っていきます。イチゴケーキのようには甘くはない現実をうけとめ、淡々と生きる彼女たちの日常は痛々しいがとてもいとおしく、思わず抱きしめたくなるのです。
 そして幸せを求める彼女たちの日常がそのままわたしたちの日常に紛れ込み、切ないイチゴケーキとなって残る、そんな映画でした。
 この映画を観ていて、わたしの目に焼きついたのが秋代の部屋のカレンダーでした。一途に思いつづける「きくち」に電話をかけ、田舎の実家からトマトを送ってきたからあげるといって約束し、近所のスーパーでトマトを買います。
 仕事のときとはうって変わり、洗いざらしのTシャツとジーンズ。化粧もせず、黒ぶちのめがねをかけて坂道を自転車で走る後姿は、純愛に心焦がす彼女の本当の姿なのです。
 「きくち」には彼女がいて、決して報われないことを知っているからこそ「友だち」を装い、居酒屋でわざと乱暴な言葉づかいで飲んでいる後姿もまた、肩のふるえが伝わってきます。
 こんないとおしくせつない彼女の恋の記念日が、カレンダーの一ヶ月分に一回あるかないかの「きくち」というメモに記されています。それ以外のメモはいっさい書かれていないのでした。持ち歩く手帳や携帯電話のカレンダーにはない、壁掛けカレンダーの切実な役割がそこにはあります。

 わたしはといえば高校を卒業して友だちとアパートに住みはじめ、それから何度となく引っ越しをしました。
 一人暮らしをしたり、友だち何人かと暮らしたりしてきましたが、不思議にその頃はカレンダーにかかわる思い出はありません。定職にもつかず、ビルの清掃などで貯めたお金で1年間は昼と夜が逆転する生活をしていました。そんな暮らしにカレンダーなど必要なかったのでした。
 この映画に登場するひとたちと同じように、無垢ともいえる青い時を通りすぎた後、自分の暮らしやこれからのこと、かなわなかった恋、ふるいにかけられて残った友だち、心のひだにしみこんだ後悔…、そんな切ない日々を通り過ぎた部屋には、いつのまにかカレンダーが掛かっていました。
 世界の現実に目を向ければ、悲しい記念日に埋めつくされ、カレンダーのどの1日からも悲鳴が聞こえてきます。1995年1月17日や2001年9月11日、たくさんの世界の悲しい記念日は特別であるはずのひとりひとりの死をかくしたまま、何千、何万、何百万と死者の数を数え、おびただしい血で書き込まれた記念日を積み重ねてきたのでした。
 その血塗られた瓦礫となった壁にもまた、カレンダーは掛かっていたことでしょう。この世界の誰彼にとって特別に悲しい記念日が1年365日では足るはずもない現実もまた、たしかにあります。
 けれどもその一方で、この世界に生きる70億の人々の、だれかの誕生日でない日などないのではないでしょうか。さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもまた、たしかにあります。わたしだけの大切な記念日があるように、わたしの知らない、世界でたったひとりの誰かの特別な記念日もまた、カレンダーにはかくれているのだと思います。
 そんなことを思うと、わたしたちと松井しのぶさんと多くの関係者がつくりあげたカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」が、どんなひとのどんな部屋に掛けられ、どんな日々をみつめることになるのか、期待と不安とせつなさでいっぱいになります。
 そして、いろいろなひとがちがった思いでちがった日に書き込みを入れてくれることを願います。このカレンダーが2万人の方々に届いたならば、1年365日のうちの1日だけでもいいから2万の特別な記念日になることを願ってやみません。
 そして…その1日がもし悲しい記念日になったとしても、このカレンダーがその日をやさしく抱きしめてくれることを願っています。

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2016.10.26 Wed コミュニケーションの達人とカレンダーの営業に行きました。

2017年カレンダー5月6月
カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」2017年5月6月イラスト (C)松井しのぶ

 昨日25日、カレンダーの営業のため、箕面に行きました。午前に豊能障害者労働センターの障害者スタッフ・Tさんと市民グループ「結・みのお」におじゃましました。「結・みのお」は地域のいろいろな課題を市民自身で解決していこうと結集したグループで、箕面市民にとっても市行政にとってもたのもしい存在です。わたしが豊能障害者労働センター在職時にずいぶんお世話になった人たちですが、昨年たまたま中村哲さんの講演会の実行委員会に参加したことで、またお付き合いをさせてもらうことになりました。
 カレンダーの協力依頼だけでなく、豊能障害者労働センターの障害者スタッフのTさんと結・みのおのひとたちのつながりを深めてもらえたらと思い、時間をつくっていただきました。もっともTさんはすでに結・みのおの会員さんの何人かとは知り合いでしたが…。
 Tさんは今年豊能障害者労働センターの仲間になったひとで、あまり詳しく聞いていないのですがおそらく難病の影響で声が出ないのですが、よく聞くとわかるのとどうしてもの時は筆談で話してくれます。実際のところはつらいこともたくさんあるはずですが、自分の障害という個性を受け入れ、とてもナチュラルな感性と一本筋が通った生き方を持った人です。甲斐あってTさんは結・みのおの会員になり、積極的に結・みのおともかかわってくれそうで、とてもうれしく思いました。
 また、結・みのおの会員さんでもあるのですが、昨年中村哲さんの講演会の記録冊子を一緒につくったNさんとSさんも来てくださっていろいろなお話ができました。
 Nさんは日本基督教団箕面教会の方々に勧めてみようと言ってくださり、カレンダーを預かっていただきました。SさんはTさんととても親しくされていて、Tさんがより以上にいろいろな活動に参加していくことを応援してくれていて、カレンダーの方も協力してくださることになりました。
 結・みのおで昼食をごちそうになった後、午後からは箕面市人権啓発推進協議会のKさんを訪ねました。Kさんとは個人的にとても親しくしてもらっている人ですが、Tさんとも知り合いで、つくづくTさんの人間関係の広さに驚いてしまいました。Kさんとは、いろいろな活動が世代交代する時で、Tさんたち若い世代に引き継いでいきたいねと話し合いましたが、そんなことを思うと豊能障害者労働センターを退職してすでに13年、「昔の名前」すらもうないに等しいわたしですから、ほんとうにこれを最後のおせっかいにしようと思いました。わたしにとって豊能障害者労働センターは今もいとおしくラジカルな青春で、これからもそれは変わらないとは思うのですが…。

 その後、「暮らしづくりネットワーク北芝」が運営するカフエレストラン・芝樂(しばらく)でTさんとお茶を飲みながら話しました。2001年に設立された「暮らしづくりネットワーク北芝」は箕面市・萱野地域にて、地域の課題を解決するために「暮らしづくり」の活動を起こそうとしている個人やNPOグループの支援を行い、人と人、組織をつなぐネットワークとして機能することを目的とする特定非営利活動(NPO)法人です。若い人たちも高齢者も一緒になって、地域の課題を解決するための起業への出資や相談に応じたり、地域のさまざまなNPOや個人の求める情報提供したり共同事業を後押ししたりと、結成されてからすでに15年、このグループも箕面になくてはならない存在となっています。
 芝樂(しばらく)は2004年にオープンしたお店で、落ち着いた雰囲気で箕面でも有数のグレードを持ったお店ですが、何か地域や町に必要な事業をしたいとか、共通の目的を持った若い人たちの出会いと活動の拠点としても活用されていて、わたしの印象では「暮らしづくりネットワーク北芝」の活動を市民に発信した出発点だったように思います。
 実はTさんと話をするのは初めてで、彼女の障害のことやこれまでの人生についてもっときちんと聞かなくてはならなかったと反省しているのですが、今回はカレンダーのことをTさんに伝えたいと思う気持ちの方に偏ってしまいました。
 彼女が「こうして2人で話しているときはまだなんとかなるんだけれど、大勢で話しても声が出ないのでわかってもらえないから」と話しました。
 わたしは子ども頃からどもりに悩んできました。大人になってからは、どもらないように話す言葉に気を付けているため周りからそう思われないようになりましたが、例えばマイクをもって何かを訴えたりするときは一言も声が出ない時があります。
 わたしは彼女の話を聞きながら、恥ずかしい思いやいじめられたこともたくさんあったけれど、どもることでまた得たものもたくさんあったことを思い出していました。ひとつの言葉が言えなくて、いろいろ言い換えてなんとか相手とコミュニケーションをとろうとすることで豊かな表現力が身に着いたり、学校で教えられた言葉よりも自分でかちとり、学んだ言葉の方が相手に伝わることもあったり、一万語の言い訳よりも「ごめん」の一言の方が気持ちを伝えられたり…。
 ひととひととはわかり合えないことが含まれてこそ、わかりあえるんじゃないか。わかり合いたい、伝えたいという気持ちのほうが大切で、極端なことを言えばその中身はどちらでもいいのではないか。そして、一方が「わかり合えた」と思う時、実は相手を屈服させていることに気づかないでいることもしばしばあります。
 だから…、何度も聞き返したり筆談を交えたりと、手間暇かかって面倒くさいように思えても、その果てに理解できたことは心にしみこんで、忘れることがないよ。そして、そのようにして積み重ねた「分かり合いたいと思うこと」は、やがて深い友情と信頼をつくるのだと思う。
 そんな話をTさんとしていて、子どもの頃からどもりで悩んできたわたしを救ってくれたのは豊能障害者労働センターの障害者たちだったことにあらためて気づいたのでした。彼女たち彼たちはほんとうにコミュニケーションの達人だと思います。
 そうこうしていると、さっき結で別れたSさんから電話がかかり、今から能勢に行くのでまだ箕面だったら送ってくれるとのこと。Sさんは箕面でフェアトレードの雑貨店をされていましたが、東能勢の地黄郵便局の近くの古民家を改造して年内に開店を予定されているのです。交通の便に苦労しているので、ありがたく乗せてもらうことにしました。
 途中、改造中のお店を見せていただきましたが、たたずまいも付近のロケーションも素晴らしく、開店が待ち遠しいです。
 厚かましくも家まで送ってもらい、とても助かりました。Sさん、ありがとうございました。
 カレンダーの営業成果はもとより、久しぶりにわたしが信頼する2つのグループの拠点を訪ね、ここ10年の進化も目を見張るものがありますが、何よりも若い世代が引き継いで大切な夢をバトンリレーしていることに心を打たれました。
 わたしは能勢に来てまだ5年ということだけでなく、なかなか能勢の住民としての手ごたえを感じることができずにいますので、箕面の旧友との交流だけでなく、能勢で新しい友情をつくっていきたいと思った1日でした。

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障害者市民事業ネットワークオリジナルカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」の販売にご協力いただきますよう、よろしくお願いします。
1.このカレンダーをご購入いただき、一年間ご利用いただけないでしょうか。価格は税込み1000円です。
2.毎年このカレンダーをご利用いただいている方にお願いです。お友だち、お知り合いにこのカレンダーをお勧めいただけないでしょうか。
3.ご友人のグループや職場などでご紹介いただき、共同購入をお願いできないでしょうか。50部以上の場合は特別協力会員価格でお届けします。
4.プレゼントされる場合、お届け先に郵送代行します。意匠ケース代50円。郵送料は無料です。

お申し込みは 豊能障害者労働センター 電話072-724-0324
積木屋・豊能障害者労働センターの通信販売
WEBからご注文できます。

恋する経済・カレンダーやさしいちきゅうものがたり
2017年カレンダーの全イラストをご覧いただけます。(C)松井しのぶ
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