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2017.12.09 Sat さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもある。

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今年も豊能障害者労働センター機関紙「積木」に、カレンダーの記事を書かせてもらいました。


おもわずだきしめたくなるカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」
遠い遠いどこかの大地で同じ星を見ているあなた
遠い遠いどこかの駅のホームに立っているあなた
そして世界の希望の一年がやってくる

カレンダー「やさしいものがたり」の誕生
 松井しのぶさんのイラストによるカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」が、2018年版で13作目を数えることになりました。
 そもそも、カレンダー事業は障害者の働く場と所得をつくりだすために結成された障害者労働センター連絡会によるカレンダー「季節のモムたち」がその前身でした。
2003年、イラストを描き続けてくれた吉田たろうさんが亡くなられ、途方に暮れながらも後継のイラストレーターを探さなければなりませんでした。
吉田たろうさんのイラストは、地球上の小さないのちを大切にし、障害者の生きやすい社会をつくるというコンセプトでした。
わたしたちはその想いに加えて阪神淡路大震災、アメリカ同時多発テロなど頻発する自然災害やテロ、紛争でこどもたちが傷つき、いのちまでも奪われる理不尽に立ち向かう世界の人々と共に平和に生きる勇気を耕したい、そんな思いを新しいカレンダーに託したいと思いました。
 報酬は少ない上に、わたしたちの願いを表現してくれるイラストレーターを見つけるのは困難を極めましたが、インターネット検索を繰り返し、松井しのぶさんのイラストを発見したのでした。
 ナチュラルな色づかいとソフトなタッチのイラストは愛らしいメルヘンでもあり、月夜にきらめくファンタジーでもあり、その透明な光のキャンバスの上で記憶と夢が溶け合っています。
 2003年は米英軍を中心とする多国籍軍のイラク侵攻によってイラク全土が破壊され、イラクの民間人の死者の数は10万人とも20万人ともいわれています。
 わたしの記憶では、空爆の様子がテレビ中継されていました。夜のバグダッドの街に次々と爆弾が落とされる情景をテレビで見ている自分自身のおぞましさ、恐ろしさ、うしろめたさは今でも忘れることができません。
わたしは松井さんのイラストを見て、そのイラストの向こう側にだきしめたくなるノスタルジーと未来への強い意志、平和の祈り、希望がぎっしり詰まっていると思いました。
わたしたちの願いのすべてが松井しのぶさんのイラストにあることに、驚きとともに奇跡といってもいい運命を感じました。
 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」はこうして誕生しました。

カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は平和を願う手紙
 2011年、日本も世界も立ち止まらざるを得なかった東日本大震災をきっかけに、豊能障害者労働センターは世界の窮民の自立経済と被災地の自立支援をつなぐ障害者市民事業プロジェクトとして商品開発を進め、全国に点在するカレンダーの共同販売ネットワークを通じて届けてきました。

 わたしは壁掛けカレンダーが好きです。スマホやタブレットに時が閉じ込められてしまった今、壁掛けカレンダーの役割は少し変わったのかもしれません。
しかしながら、時代が猛スピードで過ぎ去った後に残る記憶は、その時代を生きたひとびとの人生の証しでもあります。
 子ども時代の戦争の傷跡、鉄条網と牛糞と黒い土と、ハーモニカと布のボールと進駐軍のジープ…。青春時代のデモとゴーゴー喫茶とボブ・ディランと天沢退二郎の「宮沢賢治の彼方へ」と寺山修司の「家出のすすめ」…。そして、豊能障害者労働センターとふたつの震災と被災障害者支援「ゆめ風基金」とKさんの死…。
世界の現実に目を向ければ悲しい記念日に埋めつくされ、カレンダーのどの1日からも悲鳴が聞こえてくるようです。
けれどもその一方で、この世界に生きる74億の人々の、だれかの誕生日でない日などないと思います。さよならを数えるカレンダーもあれば、いのちと出会いと愛を数えるカレンダーもまた、たしかにあるのです。
そして今、わたしたちは北朝鮮との武力衝突があるかもしれないという現実にさらされています。わたしたちの住む日本にも北朝鮮にも韓国にも、たくさんの子どもたちがいます。明日のいのちがどうなるかわからない不安と恐怖と緊張のただ中で身をかがめ、心を固くしているこどもたちがわたしたちと同じ思いで同じ空を見つめていることでしょう。
わたしたちは、どんな強力な武器よりも共に生きる勇気を育てること以外に「安全で平和な社会」をつくれないことを知っています。わたしたち人間は言葉も個性も希望も夢も国籍も民族も年代もちがっても、つながることができるはずです。
 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は平和でなければつくることができません。
だからこそ今年もカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」に託された平和への願いが、一人でもたくさんの方に届けられることを祈っています。

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2017.11.29 Wed そして世界の希望の一年がやってくる。カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」に寄せて

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クリスマスソングが街にあふれ
あわただしいときが走り抜ける
かなしかったこともうれしかったことも
せつなかったこともおかしかったことも
さびしいわかれもたのしい出会いも
ささいなできごともおおきな紛争も
まるで一年のはじめから
わかっていたように
思い出というカレンダーにきざまれる
遠い遠いどこかの大地で
同じ星を見ているあなた
夜のむこうの冷たさが頬を凍らせ
必死で声を出そうとしているあなたの
冬の心はまだ
詩にもならず歌にもならず
爆弾でこわれてしまった部屋の壁には
いつかのアイドルと
英雄の古びたピンナップと
肩を並べるように寄り添うカレンダー
あなたの記憶のぼんやりとした岸辺で
世界の悲しい一年がさよならしている
一月一日から十二月三十一日まで
時にただの数字の並びが
不思議な物語に思えることがある
遠い遠いどこかの駅の
ホームに立っているあなた
そして世界の希望の一年がやってくる



 
あなたの出会いの記念日に 
お届けします!時の花束

障害者市民事業ネットワークカレンダー series13
やさしいちきゅうものがたり
illustration  松井しのぶ
●カラー6枚つづり●たて62cm×よこ30cm 1,000円 全国一律送料無料
お申し込みは 豊能障害者労働センター
tel:072-724-0324 fax:072-724-2395
通信販売サイト・積木屋からもご注文できます。
今年もなにとぞご協力よろしくお願いします。


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2016.12.26 Mon カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」・最後のご案内

2017年カレンダー3月4月

心よ、心 ここから
いちばん遠いところ
心よ、心 世界で
いちばん小さなわたしの森
心よ、心、 世界で
いちばん小さなわたしの海
心よ、心 たとえば
あなたと手をつなぐこと
心よ、心 たとえば
あなたに手紙を書くこと

今年最後のご案内です。

2017年、あなたの出会いの記念日に
お届けします!時の花束
障害者市民事業ネットワークカレンダー series11
やさしいちきゅうものがたり
illustration(c)松井しのぶ
●カラー6枚つづり●たて62cm×よこ30cm
1,000円 全国一律送料無料
お申し込みは 豊能障害者労働センター
tel:072-724-0324 fax:072-724-2395
通信販売サイト・積木屋 http://www.tumiki.com
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2016.11.30 Wed 松井しのぶさんとシュールレアリスムとわたしの青春 採録

2017年カレンダー9月10月
2017年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」9月10月イラスト (C)松井しのぶ

だれもが心の底に
なつかしい風景をかくしている
そこでは行方不明の夢たちが
かがやく朝を待っている

 たとえば若い頃のヒットナンバーがラジオから流れたとたん、何十年も前の出来事や住んでいた街の風景を一瞬に思い出すことがあります。その風景の些細な部分がくっきりとよみがえるのです。そんな経験はだれもがもっていることでしょう。
 友だちや好きだったひととお茶を飲んだ喫茶店の壁の色からテーブルの形、コーヒーの香りとカップの手ざわり…。そして、若いわたしはテーブルの前に座っているだれかとコーヒーを飲んでいます。何十年も前からずっとそうしていたかのように。
 松井しのぶさんのイラストをはじめて見たとき、わたしはそんな驚きとなつかしさで心がいっぱいになりましました。
 わたしは高校の時、美術部に入っていました。といっても毎年4月の2週間ほど石膏デッサンをするだけで、3年間に一枚も絵を描かなかった部員でした。小学校、中学校とまわりから絵が上手といわれていい気になり、美術部に入っただけでした。
 大阪市内の工業高校に入学したわたしは、学校に行くのがずっと苦痛でした。1年の時はまだ専門課程の建築を勉強しましたがすぐにいやになりました。いつも反抗的でありながらおどおどしていて、教師にも同級生にもけっして心を開きませんでした。
 といっても、なにも学校や同級生に問題があったのではありません。ただ単にわたしが吃りで対人恐怖症だっただけでした。他人からみればなんでもないことかも知れないのですが、背丈をこえる巨大な劣等感におしつぶされるのを必死にこらえていました。
 美術部に入ったおかげで、そんなわたしにも友だちができました。当時流行したこまどり姉妹の不幸な身の上話の歌ではありませんが、「どもりで私生児で貧乏」とくればこれ以上の不幸は誰にも負けないと思っていたのですが、わたしのともだちはそれ以上の事情をかかえていて、そのことがわたしたちの結束力を高めることになりました。
 「死のう会をつくれへんか」と声をかけてきたのは、機械科の先輩でした。わたしが「詩の会だったらいいよ」というと、どちらでもいいということになりましました。実存主義にかぶれたわたしたちはよくわかりもしないのに哲学の話をよくしました。
 それからすぐ、ふたりの生徒が死にました。ひとりはその機械科の先輩の同級生で、優等生の彼は一流企業への就職が決まってすぐのことでした。もうひとりは、わたしの同級生で、たしか喘息の発作で死んだのだと思います。彼が死ぬ1週間ほど前に「ぼく、公園で男と女が抱き合ってるのを見てしまった」と言ったのを今でもおぼえています。卒業写真の丸枠に入ってしまった彼の影の薄い顔写真を見ながら、わたしは「あいつはそれを見たから死んだんや」と、今から思えばとても残酷な納得をしました。
 そんな暗くてあぶない高校時代に、わたしをわくわくさせたものが「シュールレアリスム」でした。キリコ、デルボー、タンギー、マグリット、ブルトン、エリュアール……。
 正直言えばそれらに感動する感性を持ち合わせていなかったし、いまもよくわからないのですが、それらが放つ魔力にとりこになってしまったのでした。
 わたしはそれ以後、美術、演劇、映画、詩、音楽など、いろいろな表現行為や作品に興味を持つようになりましました。何十年もたって豊能障害者労働センター在職時にライブやイベントをプロデュースしたり、カレンダー、ポストカード、Tシャツなどの制作を手がけたのもそこから始まったのだと思います。
 松井しのぶさんのイラストは、「シュールレアリスム」と出会ったその時代にひきもどしてくれました。彼女のイラストにはどこかほの暗く、やさしい透明な光があって、そこでは過去と未来が、記憶と夢が溶け合っています。そして、だきしめたくなるノスタルジーの中に、未来への強い意志、願い、祈り、希望がかくれています。
 真っ青な空、限りない緑、暖かい赤……、小さな一枚の絵の隅から隅まで、この世界の、空の、海の、森のすべてのいのちへのいとおしさに満ちあふれています。
 わたしの心もからだも青かった1963年から1970年までの7年間、正義と裏切りと野心と希望に溢れた時代の中で、わたしは自分に腹を立てながらどうしようもない時を生きていました。すべてを「どもり」のせいにして、狭い心の地下室に閉じこもっていました。それでもいまふりかえると、その7年間がまちがいなく今のわたしをつくったのだと思うのです。それ以後今までめざましいことをなにひとつして来なかったし、先行きとても不安な人生であることはまちがいありません。
 けれどもその7年間がなければ、そのころには思いもつかなかった障害者をはじめとする多くの友だちとは出会うことはなかったでしょう。いまわたしが生きてきたすべてのことがら、すべての感じ方、すべての行動、「わたしのものがたり」はその7年間に、まだ記述されない未来としてかくされていたのだと思います。
 わたしはいま、その7年間の自分自身を抱きしめたい。「ありがとう。だいじょうぶだよ」と…。

2017年カレンダー11月12月
2017年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」11月12月イラスト (C)松井しのぶ


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2016.11.18 Fri 優しい夢と手をつなぐ  松井しのぶ カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」のイラストレーター・松井しのぶさんが、カレンダーを制作している豊能障害者労働センター機関紙「積木」に寄稿された一文を転載します。
 松井さんのイラストの裏側には青みがかった薄闇が隠れていて、それはちょうど夜がまだ気配を消さないまま、朝の光が忍び寄る寝室の窓ガラスのようです。
 とりわけ今年は、今までは絵画的だったイラストがまるで一本の映画のようです。こんなことを書くと松井さんに叱られるかも知れませんが、お父さんが同居されるようになり、日常の暮らしの中で時々起きる事件が「採用されなかった映画のエピソード」として貯金され、意味もなくささやかではありますが豊かな物語となって彼女の指先からあふれ出ているようなのです。沢木耕太郎のエッセイ集のタイトルではありませんが、世界は「使われなかった人生」であふれているのですね。


優しい夢と手をつなぐ     松井しのぶ

 小さな身の回りで起きている些細なことから世界のことまで、世の中の空気が自分の肌までピリピリとさしてくるような、そんな様々な辛いニュースばかりついつい目がいってしまう……今日この頃。先日たまたま「グレースオブモナコ」という映画をテレビで見る機会があり何気なく見るとはなしに見ていたのですが、その映画のクライマックスでモナコ王国がフランスに封鎖されて侵略の危機にあり、もう打つ手も無くなったという国の存亡がかかった場面でグレース王妃が各国の代表を招いた赤十字の晩餐会でスピーチをするという場面で、それまでただなんとなく見ていただけだったのに、そのスピーチの内容にすごく引き込まれてしまいました。今日はその言葉を機関紙を読んでいる方々にもシェアしたくて、長いスピーチなのでその中の言葉から私が選んだ言葉を抜粋したのですが紹介しますね。
※  ※  ※
子供じみていますが
私はおとぎ話を信じます
心から望めば実現するはずです
どんな努力も惜しまない覚悟があれば
世界は変えられると信じています
憎悪や衝突も消えるに違いありません
代償を払う覚悟があれば
私にとってモナコはそういう国です
私は軍隊を持っていません
誰の不幸も望みません

自分のできる範囲で
少しでも世界を変えるために
私はここにいます
でも破壊する人がいれば
現実もおとぎ話も終わりです
気に入らないから破壊する人々がいます
当然の権利とばかりに
幸福や美を破壊する権利は
誰にもありません
それは許されない事だと教わりました
そんな世の中には住みたくありません
愛があれば
解決できるはずです
なぜなら愛の力を
信じているからです
愛の力があれば
武器や攻略や恐怖や差別はなくなり
世の中が正しい道に導かれます
だから今夜は愛を賛美したいのです
私は愛を守り抜きます
皆さんも各自の方法で
努力してください自分の社会の中で
※  ※  ※
 世間をよく知っているという人たちは「愛があれば解決できる」なんて、甘いおとぎ話の演説と一笑されるかもしれません。このスピーチはグレース王妃が実際に語った言葉ではなく全くのフィクションなのだそうです。ただこの映画の監督がこの言葉を入れたかった気持ち、今の世界にどんな気持ちが必要なのか、こんなおとぎ話のような言葉をあざ笑うような人がこの世の中に確実に増えている危機感からのような気が私はするのです。
 そして私もそのおとぎ話の住人です。

 ピックとニックと旅をしながら、優しい世界に出会うために、そのおとぎ話の物語を紡いでいます。同じ気持ちの誰かと出会うために、違う気持ちの誰かと手をつなぐために、そして愛で語り合うために…ピックとニックがあなたの心の中で新しい優しい物語を紡いでくれることを祈りながら…。

 そして思うのです、一人一人がそんな気持ちで生きて行ける世の中、そういうものを心の中に育てることができる世の中はどこからか勝手にやってくるものではありません。一人一人が、自分自身が、本気でそう思って、諦めている自分を変え、そして世界を変えてゆくしかないと感じています。マイケルジャクソンが歌っている「マンオブザミラー」の歌詞ように…(世界を変えたければ、まずは鏡の中の自分を変えようという歌詞です)だからこそたくさんの人にど〜〜〜んとハートの爆弾を落としたい、殺伐とした武器ではなく世界中を暖かい愛の心でいっぱいにしたい。そんな思いを込めて2017年もカレンダーを描きました。
 明日のあなたの心にしっかりとした強い思いの愛がキラキラと輝いていますようにと♡
 そして手を取り合って未来に歩いて行けるようにと…。

*ピックとニックはカレンダーのイラストに登場するキャラクターです。

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